風に薫りが混じり始める4月17日、関西エリアの弐輪道CUPも開幕戦を迎えました。
場所は大阪府にあるスポーツランド生駒。関西エリアの中で最初に弐輪道CUPを開催したサーキットです。このコースは緩やかではありますがアップダウンがあり、2本の長いストレートがありつつもヘアピンの連続なども配置されているテクニカルなコース。パワーとテクニックの両方を必要とする「走り応えのあるサーキット」なのです。
弐輪道CUPは「耐久レースの持つ楽しみやレース感覚を手軽に味わっていただきたい」という想いを込めて、2りんかんが開催しているミニバイクの耐久レースです。分かりやすいシンプルなルール、ビギナーライダーへのサポートなどハードルの低いレースになるように心がけています。
開催するレースは2つ。『エンジョイ2時間耐久レース』と『スポーツ2時間耐久レース』です。どちらも2時間の耐久レースですが、より楽しみ優先のエンジョイに対し、少しスポーティな楽しみなのがスポーツ。それぞれのレースの中にクラス存在します。エンジョイには『OPEN』『SP』『ノーマル』、スポーツには『OPEN』『2st50』『4st100』と、それぞれに3クラスの設定があります。マシンの改造範囲や排気量によってクラス分けされていますが、レースは混走です。クラスを超えた熱く楽しいバトルが繰り広げられます。
開幕戦となった4月17日は朝から雨。お昼前にやみましたが、その後は強風とお天気は厳しいもの。しかし集まってくださったみなさんはそんなお天気にも負けず、思う存分に楽しんでくださいました。
レースを楽しむに大切なのは準備です。特にマシンの準備は大切。できれば前日までにメンテナンスを済ませておけば、当日確認作業に専念できますし、コースの下見などもできます。もしメカに不安のある方は、お近くの2りんかん店頭でご相談ください。
朝は受付から
ほとんどのチームは時間に余裕を持って到着し、ピットの準備やマシンのセルフチェックなどを行います。今回は雨が降っていましたし、午後からは晴れ予報でしたのでレインとドライ2種類のタイヤを準備する姿も多く見られました。
そして時間になったら受付へと進みます。受付では計測器と当日の資料、サインボードエリアに入るパスをお渡しします。
ブリーフィングでライダーも準備
車検でマシンの準備が整ったら、次はブリーフィングでライダーが準備します。ルールとマナー、そしてフラッグの意味を説明します。初レースの方でも分かりやすい内容にし、フラッグは種類を絞っているのが特徴です。
無料レンタル装備
毎回、大人気なのが無料レンタル装備です。革ツナギ、レーシンググローブ、ブーツを無料でレンタル!これからレースデビューを考えているけど革ツナギを用意するのは大変…という方も安心です。
ご利用の方はサイズの申請などもありますので、エントリー時にお申し込みください。
不安をなくすビブスシステム
走行に不安がある方を対象に、緑のビブスを貸し出しています。このビブスを着用していれば周囲のライダーが優しく抜いてくれるシステムです。ビギナーの方を中心に毎回人気となっています。
ただし、このルールはスタッフだけでは成り立ちません。ご参加いただいたみなさんのご協力があってこそ。本当にありがとうございました!
グリッド抽選が『名物』
初参戦、もしくは経験の浅いライダーが多く参戦するのがエンジョイ2時間耐久レース。このレースでは「グリッドは抽選で決定」という特別なルールがあります。
受付時に抽選をし、そこでグリッドが決定します。これによって練習走行は練習に専念できます。「慣れていない自分がいっぱい走れます。いや、走らされるのかな?(笑)」といった声も聞かれました。ベテランはある程度の走行をすれば問題ありませんから、有意義に活用できるのです。
また、この抽選が朝一番の運試しといった楽しみにもなり、エンジョイ2時間耐久レースの“名物”にもなっています。中にはスポーツ2時間耐久レースに参戦なのに抽選をしてしまう人もいるくらい、弐輪道CUPの名物となっているようです。
受付には複数の仲間でやって来る傾向が強く、良い順位でも「これで運がなくなるわぁ。きっと転ぶで」などと“いじられる”場面も。後ろのグリッドを引き当てたあるチームは引いた本人も一緒に「うんうん」と頷きながら戻って行ったりもします。
レースは2時間という長丁場ですし、正直に言えばグリッドの順位は大きな意味を持ちません。あくまで「楽しみのひとつ」なのです。
スタート前でも楽しみいろいろ
いよいよスタートの時刻が近づくと、グリッドへの整列が始まります。グリッドでは記念撮影をするのがスタンダードです。ただし今回のようにお天気が変わってしまうと、タイヤの交換などがあって「写真撮る余裕がなかったです」というチームもあるようです。
スタート方式はコースを挟んだ反対からライダーがダッシュし、またがって走り出すル・マン式です。ライダーが仲間から離れて整列すると、雰囲気が変わります。緊張感が高まっていきます。
序盤はラップタイムが順位に直結しますので、エースライダーが担当するのがセオリーですが、そこは楽しみが優先。「思い出に」とか「ダッシュは嫌やもん」という理由で変わっていくようです。
楽しい決勝レースのスタート!
心配された天気も回復し、ドライコンディションでレースはスタート。1コーナーやスピードの落ちるヘアピンなどでオーバーテイクが多く見られます。
時間が過ぎて行くと、実際の順位とは関係なく熱いバトルが繰り広げられます。「やっぱり同じくらいの速さだと、燃えちゃう」という言葉が出るように、目の前のライダーを抜きたくなるのが自然な流れなのです。もちろん、「抜き返したい」という気持ちも湧き出て来ます。
熱いバトルが各所で繰り広げられるのですが、その中にあって“紳士な心”を忘れていないのが素晴らしいところです。相手を驚かせてしまった時、少しだけでも接触してしまった時、手を挙げて挨拶するシーンが多く見られます。こういった気遣いによって、気分良くレースを楽しむことができるのです。まだ緊張しているビギナーライダーの心にも残る光景になりました。速いだけでなく、周囲への気遣いができることが“カッコいいライダー”なのです。
耐久レースでは、ライダー交代もひとつの見所です。エンジョイ2時間の場合は20分ほどで交代するチームが多く見られます。
「最後まで走るのが目標なので、早めに交代します」という作戦のようです。特に暑さとの戦いになるレースでは集中力も途切れがちですし、水分補給も大切になります。事務局からも早めのライダー交代をお願いしています。
2時間の熱い戦いが終わりチェッカーフラッグがはためく
スポーツとして楽しむ方が多いのがスポーツ2時間耐久レース。エンジョイ耐久と比べるとレースに慣れている方も多くなり、レベルもちょっと上がります。弐輪道CUPを代表するレースとも言えます。
グリッドも予選順位によって決定しますので、練習走行からタイムアタックへと切り替えていかねばなりません。
緊張感が高まるスタート
スタート前のグリッドでは、緊張感溢れる光景が見られるのがスポーツ2時間耐久レース。記念撮影などもしっかり行いますが、エンジョイ耐久とは一味違った雰囲気に。
大きな混乱もなくスタートが決まり、レースが始まりました。高めていた集中力が爆発する様は、本当に迫力があります。序盤はいかに「自分のペース」を掴むかが大切。早く自分のペースになったチームが優位に立てるのです。
30分ごとに発表される中間順位をチェックし、作戦を変更する場面もあります。チームが一丸となる熱が、観戦している人を興奮させるのです。
必死に走っていると、本人が想像するよりも体力が消耗していきます。ライダー交代後に寝転んでしまう光景も。「少しでも上の順位で、チェッカーを受ける」という気持ちが、そうさせているのです。正にスポーツです。
感動のチェッカーで笑顔が溢れる
特徴が違う、エンジョイ耐久とスポーツ耐久ふたつのレース。しかし変わらないのがチェッカーフラッグを受ける瞬間の感動です。
2時間のがんばりは、この瞬間のためと言っても過言ではないでしょう。「体力」「技術」そして「知力」を駆使して「疲れ」時には「トラブル」に立ち向かい、乗り越えたのです。時に諸手を挙げ、時に拍手をしながらチームのみなさんはライダーを待ちます。そしてライダーもまた感動を味わいます。
チェッカー後に戻って来るライダー達を暖かい心が包み込みます。走っている時の“ライバル”が“共に戦った仲間”に変わる時間です。スポーツマンらしく、チェッカーと同時にノーサイド。暖かい拍手で迎え入れます。
思いきり走り、楽しんだレースはみんなが勝者です。しかしレースですので順位が存在しますし、上位のチームには表彰式が待っています。
全チームが互いの健闘を称え合う拍手から表彰式は始まります。表彰台に乗ったみなさんも、称える拍手を贈るみなさんも、みんなが笑顔で溢れています。心温まる、充実した光景でした。
- 9和田兄弟
- 8摂南大学モータースポーツ①
- 2真加部レーシング 40代
ジャンケン大会
表彰式が終わるとアフターミーティング! というのがいつもの流れですが、今回は天候の回復待つためにレース前にミーティングを行いました。豪華な景品をジャンケンで勝ち取るジャンケン大会が大いに盛り上がりました。この熱気が雨雲を吹き飛ばしてくれたのかもしれません。
ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました! 2016年もスポーツランド生駒にてあと2戦、近畿スポーツランドで2戦が開催されます。イベントスケジュールに掲載されていますので、どんどんエントリーをお願いします! みなさまのご参加をお待ちしております!