速いよりも上手いライダーを目指す2りんかんライディングレッスン

楽しく充実したバイクライフを送るためには、いくつものポイントがあります。そのひとつに“間違いなく”入るのは、ライディングの技術を上質にすること。と言っても勘違いしやすいのは「上手い=速い」という先入観。確かに速く走る上手さもありますが、本来的に言えば「上手さを速く走ることに使っている」のであって、速くないから上手ではないってことではないのです。
こういった理論を幅広いライダーに伝授し続けているのが、柏秀樹先生。「速さよりも上手さ、かっこよさよりも安全が大切」というのが、柏先生のモットー。2りんかんが提供したいバイクライフにピッタリなのです。
9月2日の舞洲スポーツアイランド周辺は雨予報が心配されましたが、なんと快晴の一日! みなさんグッドコンディションで楽しく上達していきました。それでは上手になれるライディングレッスンの一日を紹介していきましょう。
安全運転で集合したら、座学でレッスンは始まる

ご参加の方には、朝一番で大切なミッションがあります。それはライディングに適した装備で、安全運転で会場まで来ていただくことです。胸、ヒジ、ヒザのプロテクターは無料でレンタルできますのでご安心を。ご参加の方が元気に来場してくださると、柏先生もスタッフも安心します。
座学
受付を済ませていただいたあとは座学になります。なぜ座って、話を聞いてもらう時間があるのか。それは「冷静に落ち着いて理解して、イメージを膨らませてもらう」のが目的です。バイクに乗りながらでは、理解とイメージに集中しにくくなります。他の作業をなくし、テーマに集中してもらうことが、理解を深めるポイントなのです。
そしてもうひとつ、重要なことがあります。それは柏先生が参加者のみなさんの情報を得るためです。車種によっても違いますし、悩んでいるポイントの違いもあります。それらを総合的に考えて、レッスンのアドバイスが変わりますし、ちょっとした内容の違いが生まれたりもします。
当日の内容を説明するだけでなく「なぜこの練習が必要なのか」という部分もしっかりと伝えてくれるのが、この座学の良いところ。人間の姿勢、バイクの姿勢、どちらも正しくすれば扱いやすくなります。それらを生み出すためのテクニックがレッスン内容にはたくさん詰まっています。
もちろん難しい話をずっと聞いているワケではありません。柏先生が得意とするダジャレが盛り込まれてきますので、飽きずに楽しく覚えられます。
上達とはシンプルな操作が上質になること!

正しいフォームで練習をする
座学が終わり、いよいよ実践レッスンへと入っていきます。愛車にまたがりますが、エンジンはかけません。まずはライディングフォームのチェックと修正をしていきます。ライディングフォームだけでもいろいろな「正しい」が存在しますので、柏先生の提案するフォームでレッスンを受けていただきます。また、意外と自分でチェックするのは難しいものなので、先生のチェックは必要なのです。
この時点ではコーナリングのフォームチェックはせず、加速と減速のフォームをチェックしていきます。
メリット5で基本操作を練習する
ウォーミングアップ走行をした後は、メリット5と呼ばれる練習になります。
半クラッチでスタート→スロットルで加速→クラッチを切ってフロントブレーキで止まる、この一連の動きを低速で、しかも路面と垂直状態で行います。両足はステップの上には乗せず、出したままで行うのもポイント。これらは全て「転ぶリスクを減らす」という目的があります。転倒の怖さは過度な緊張を呼んでしまいます。
発進して停止する。その繰り返しですから言葉にすると「カンタン!」です。しかし、ここにポイントをしぼった“こだわり”を入れることで、一気に充実した難易度の高い練習になるのです。「よりなめらかに」「より思い通りに」というこだわりが、上質なテクニックを育んでくれるのです。クラッチ、スロットル、ブレーキと全てを「0、1、2、3」でしっかりとコントロールできるように練習をしていきました。
コントロールが上達してきたところで、足をステップに乗せていきます。これだけでも感覚が変わり、それまでの意識が抜けてしまうことも。どちらの足を着くのかも合わせて考えながら、コントロール技術に磨きをかけていきます。
公道とは違って、意識を完全にコントロールへ向けられるので、上達が早い! しかもこういったコントロールの練習は、今後ツーリングでも通勤でも意識しだいで積み重ねることができます。レッスン後のライディングで、上達できる可能性は無限大というワケです。
この練習では方向を変えるために曲がるのも大きな練習です。一度止まってから「1」の半クラッチを使いながら、車体の垂直を保ちつつ、フルステア(ハンドルをいっぱいに切った状態)で曲がるのです。半クラッチの繋ぎ方を一定に保つことで安定して曲がることができます。クラッチの技術が上達します。これらはUターンなどさまざまな技術に応用していくことができる基本なのです。
休憩やランチも疑問解消に役立つ時間
休憩はのどが渇いたりトイレに行きたくなった時は自由に行けます。もちろん、柏先生から「休憩にしましょう」と言う場合もありますし、ランチタイムも用意されています。今回はお弁当を用意しました。舞洲スポーツアイランドの場合はロッジの一室を借り、エアコンの効いた部屋で食べていただきます。こういった休憩やランチは柏先生も一緒です。感染症対策がありますが、食事後にマスクをしながらいろいろな話ができちゃいます。
それまでのレッスンで疑問を持った部分や、バイクライフでの疑問を質問することもできます。もちろん、柏先生がかつて挑戦したパリダカール・ラリーの話やMotoGPについて質問する場面も。とにかく先生の知識は豊富なので、いろんなお話を聞くことができます。
“走る”“曲がる”“止まる”要素を詰め込んだトライカーナで総合力を高める

レッスンでは“走る”“曲がる”“止まる”について、基礎の上達を目指して取り組んできました。これを総合的なライディングの中で使う練習が、トライカーナです。
練習してきた「なめらかな操作」と「思い通りに操る」が習熟すれば、無理をして削らなくてもタイムは上がってきます。また、タイムが変わらなくても安定感が増して楽に走れるようになれば、それもまた“上達”という意味になるのです。
今回は初めてトライカーナを走る方ばかり。最初はほとんど練習なしで走りますので、ギクシャクした走りになってしまった方も。
最初のタイム計測が終わってから練習を重ねていきます。コースに慣れてはいくのですが、なかなか安定していきません。そこで柏先生からアドバイスが飛びます。どうしてもコース攻略という考えになりがちなのですが、重要なのはそこではありません。どこへ、どの向きでいるべきか。そのためにどんなラインを通るべきか。そのラインを上手にトレースするために練習したことをどう活かすのか。という部分をしっかりと教えてくれるのです。
また、コーナリングの姿勢についてもアドバイスがあります。言葉で伝えるだけでなく、実際にどこまで大きく動かしたら良いかを先生が動かしてくれます。これが「感覚をつかめて良かったです」と、ライディングへとフィードバックされていくのです。
ポイントを知り、考えながら走ることで参加者のみなさんは成長していきます。そして二度目で最後のタイム計測となります。みなさんタイムがアップしていたのも素晴らしいのですが、それでいて安定していて、カッコいい走りになっていたところが秀逸でした。
また、コーナリングの姿勢についてもアドバイスがあります。言葉で伝えるだけでなく、実際にどこまで大きく動かしたら良いかを先生が動かしてくれます。これが「感覚をつかめて良かったです」と、ライディングへとフィードバックされていくのです。
一回目の計測と二回目の計測の差(例)
大切な今後へのアドバイスで締め!
トライカーナの最終計測が終わると、レッスンもいよいよ終わりとなります。「集中していたし、夢中になっていたからから、一日が早いですね」と参加者からは本音が漏れてきます。でも、これで終わりではありません。最後は用紙に感想を記入していただき、その用紙を持って柏先生との個人面談となります。
どんな傾向にあるのか、何に気をつけて今後のバイクライフを送れば上達するのか、柏先生が話して、さらに用紙に書き込んでくれます。レッスンでの上達もありますが、その後のバイクライフこそ大きく上達する練習の機会なのです。
ご参加のみなさま、本当におつかれさまでした。また次回レッスンへのご参加お待ちしております!