バイクのエンジンオイル交換のやり方!自分で行う際の手順や必要な道具、注意点を解説
バイクのエンジンオイルの交換は定期的に行う必要がありますが、ショップに持って行くのではなく、自分でオイル交換を行いたいと思う方も多いでしょう。
本記事では、バイクのオイル交換を自分で行う方法について解説します。
オイル交換自体は難しい作業ではないため、わざわざショップに持って行かずとも自分のタイミングで作業ができます。
ですが、正しい手順で行わなければエンジントラブルや事故の原因にもなりますので、この記事を参考に必要な道具を用意し、正しい方法でオイル交換を行いましょう。
そもそもバイクのオイル交換は、バイクのエンジンの中にある古いエンジンオイルを抜き取り、新しいオイルを入れ直すことをいいます。
エンジンオイルは人間の血液にも例えられるように、安心してバイクに乗るためには欠かせない存在です。
バイクの長時間の使用や高温下での連続使用によって、オイルが酸化したり、燃焼ガスが流入したりするなど、性能が徐々に劣化し、汚れていきます。
ですから、バイクのエンジンの寿命を伸ばし、出力性能や燃費性能を高く維持するためにもこまめなオイル交換が欠かせないのです。
バイクのエンジンオイルには、主に以下4つの重要な役割があります。
オイル交換することで、バイクの性能を最大限に発揮することができるのです。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
エンジン内部の金属同士の摩擦を油膜で減らし、各部の動きを滑らかにします。
ピストンとシリンダーなどの部品の摩擦が多いと、部品が傷ついたり、エンジンの出力を低下させたり、焼き付きの原因となったりします。
部品の摩擦を防ぐことができれば、部品それぞれの寿命を伸ばし、エンジンの好調さも保てるでしょう。
エンジンオイルはエンジンを冷やす役割も担っており、オイルの交換時期を守ることで、効果的な冷却を行えるのです。
エンジンの各部品の摩擦熱をオイルにより吸収し、エンジンの温度が上がり過ぎるのを防いでくれます。
部品の冷却が正しく行われなければ、オーバーヒートや焼き付きの原因となるため、定期的なオイル交換が重要です。
カーボンやスラッジなどの汚れをオイルに分散させ、エンジン内部の汚れが蓄積するのを防ぎ、綺麗に保つ作用があります。
色が黒くなるとオイル交換のサインであり、酷く汚れたオイルはパワーダウンしたり故障に繋がったりするなど、バイクの性能を十分に引き出せなくなります。
ですから、早めにオイル交換を行ってエンジン内部を綺麗に保つ必要があるのです。
エンジン内の部品同士は、それぞれ動くためにわずかな隙間があります。
しかし、その隙間が燃焼ガスの漏れに繋がり、エンジンの出力が低下する場合があります。
ですから、部品と部品の間にオイルを入れ、燃焼ガスを逃がさないように油膜で覆って密封するのです。
エンジンオイルは空気や水分から金属部品を守るために重要な役割を果たします。
エンジン内部に吸い込まれた空気に含まれる水分が、エンジン停止後に結露を起こすと、部品が錆びる恐れがあり、部品が錆びると、出力低下やエンジンの寿命が縮まる原因になるのです。
また、水が混入すると、オイルが白濁して異常が起きる可能性もあります。
オイルでエンジン内部に油膜を張ることで、金属部品が空気と触れて酸化するのを防ぐだけでなく、結露による水分発生も防ぎます。
オイル交換の頻度は、各バイクの取扱説明書を確認してください。
取扱説明書がない場合、1,000km~2,000kmごと、もしくは3~6ヵ月ごとを目安に点検・交換をしていくとよいでしょう。
また、バイクに乗らないままでいてもオイルは劣化するため、走行距離や走行頻度が少ない場合、半年に1度はオイル交換をするのがおすすめです。
オイル交換を始める前に、必要なものを用意しましょう。
上記以外にも車種によっては様々なものが必要となってきますし、全てを用意するにはある程度の出費も覚悟しておきましょう。
オイル交換に必要な主な道具について説明していきます。
エンジンオイルには車種ごとに指定の粘度があり、「10W-40」や「20W-50」のように、パッケージに記されているため、メーカー指定の粘度のオイルを購入しましょう。
また、エンジンオイルには、以下3つの種類があります。
それぞれベースとなるオイルが異なり、それに様々な添加剤を加えてエンジンオイルが作られますが、エンジンオイルの性能は、ベースオイルの性能が高いほど性能も高くなり、比例して価格も高価となります。
鉱物油は、原油から不要な有害成分などを取り除いて精製された、古くからあるオイルで、価格が安いため、普及率が最も高いです。
エンジンの始動性や耐熱性能、燃費などは他の種類よりも劣りますが、こまめなオイル交換やメンテナンスをすれば、一般的な使用用途では全く問題ないとされています。
化学合成油は、複雑な精製によって不純物を可能な限り取り除いた高純度のオイルです。
耐熱性の高さや真冬でもエンジンの始動性が高い点が魅力で、価格はその分高くなっています。
レースやサーキット走行時にも使われる高級オイルです。
部分合成油は、鉱物油や高度水素分解油に化学合成油をブレンドしたオイルで、鉱物油と化学合成油、それぞれの良さを両立しているのが特徴です。
鉱物油の弱点である揮発性の高さと、エンジンの始動性の悪さを化学合成油によってカバーしています。
値段も性能と同様に、鉱物油と化学合成油の中間の価格帯です。
エンジン下部のドレンボルトを外すために、メガネレンチやソケットレンチが必要になります。
ドレンボルトはエンジンの重要なパーツなので、取り付ける際にはトルクレンチもあると便利です。
また、オイル注入口の開閉にも工具が必要な場合があり、必要に応じて準備するようにしましょう。
ドレンボルトに付いているワッシャーはドーナツ型の部品で、オイル漏れ防止に重要なものです。
ワッシャーを押しつぶすことで、エンジントラブルボルトの間に隙間を無くしてオイル漏れを防ぎます。
ワッシャーは、オイル交換のたびに新品に取り替える必要があります。
エンジンオイルが多すぎたり少なかったりすると、エンジンに負荷をかけてしまうことになり、故障の原因となるため、正しい量のオイルを入れなければなりません。
オイルジョッキにはオイル量のメモリが付いているため、オイルの量を調節することが可能です。
また、ノズルがついているため、オイルをこぼすリスクも軽減されます。
エンジン内部の古いオイルを垂れ流してはいけないため、自分でオイル交換をする場合は、専用の廃油処理箱を用意しておくのがおすすめです。
オイル交換後の廃油処理箱については、お住まいの地域のルールに従って処分してください。
パーツクリーナーは、パーツに付いたオイルやグリスなどの油汚れを除去する洗浄剤です。
油汚れはウエスでは完全に落とすのは難しいですが、オイル交換で汚れた部品を掃除するのにパーツクリーナーを利用すると、オイルの汚れをきれいに拭き取ることができます。
セルフでオイル交換をする場合の手順やポイントをご紹介します。
順番に説明していきますので、自分でオイル交換ができるようになりたい方や、近くにオイル交換をお願いできるショップがない方は、参考にしてみてください。
エンジンオイルを交換する前に、使用済みのエンジンオイルを余すことなく排出する必要があります。
そこで、2〜5分程度エンジンを始動させ、暖機します。
少しでも暖機すると、オイルの粘度が下がりオイルが排出しやすくなるのです。
温めすぎると、火傷しやすくなるので注意しましょう。
センタースタンドを使って後輪を持ち上げ、車体を直立状態にします。
センタースタンドが付いていない車両であれば、メンテナンススタンドを使って車体を安定させましょう。
ドレンボルトの位置を確認し、その真下に廃油処理箱を置きます。
垂れたり飛び散ったりしても汚れないよう、バイクの下に新聞などを敷いておくのがおすすめです。
そうすると、片付けも楽になります。
メガネレンチ、もしくはソケットレンチを使ってドレンボルトを緩め、その後手で回して緩めていきます。
レンチを使う際は、はじめにサイズが合っているかの確認をしてから作業しましょう。
ドレンボルトが外れると勢いよくオイルが出てくるので、すぐに手を避けてください。
オイルの入れ口であるオイルキャップを外すことで古いオイルを早く排出することができます。
外したドレンボルトに付いている古いドレンワッシャーを新品に交換します。ドレンワッシャーには、サイズがありますので必ずドレンボルトのサイズにあったものと交換してください。古いドレンワッシャーを再利用するとオイル漏れの原因や締め付けトルクに誤差が生じネジ山を破損することもあります。
古いオイルを抜き切り、新しいドレンワッシャーに交換し終えたら、ドレンボルトを取り付けます。
ドルトを外したときと逆の手順で、はじめは手で締めていき、手で回せなくなったらレンチを使って締めていきましょう。締め付けの際は、トルクレンチを使用し規定の数値で締め付けてください。心配だからと目一杯締め付けると破損することがあります。破損した場合、修理に多くの金額がかかるので注意してください。
ドレンボルトを規定のトルクで締め付けたら、新しいオイルを入れていきます。
規定の量をオイルジョッキにオイル缶から移しますが、100円ショップでも手に入る、ろうとを使用するとこぼさず入れることができるので便利です。
オイルの規定量はバイクによって異なるため、取り扱い説明書やエンジンに打刻された数値を確認する必要があります。同時にオイルフィルターを交換した場合は、フィルターの容量分(100~300ml車種による)を多く入れてください。
オイルを注入し終えたらしっかりオイルキャップを締めてください。オイルキャップのOリンクが正しい位置に付いていないと、オイルが漏れる事があります。
オイルを注入し、オイルキャップをしっかり閉めたらエンジンを始動します。1~2分アイドリングをし、エンジンを切って5分ほど経ってから、オイルの量が多すぎないか少なすぎないか確認します。
オイル量の確認は、オイルゲージや確認窓で行います。
車体を垂直に立てた状態で確認するのでバイクを倒さないように充分に注意し行ってください。
オイル量、オイル漏れのチェックに問題がなければオイル交換完了です。
バイクのオイル交換は、作業に慣れている人であれば30分程度で完了しますが、やり方をしっかり理解していなければ、バイクのエンジントラブルや事故に発展する恐れがあります。
特に、オイルの取り扱いには十分注意しなければなりません。
ここでは、自分でオイル交換を行う際に注意すべきポイントをご紹介します。
オイルの量は多すぎても少なすぎてもエンジントラブルの原因となるため、必ず規定量に従って入れることが大切です。
オイルの量が多すぎたり少なすぎたりした場合、以下のような不具合が発生する可能性があります。
万が一、入れすぎた場合は適量だけ抜き取るのは難しいため、入れすぎには特に注意しましょう。
オイル交換をしたあと、余ったオイルを自宅で保管する際には十分注意しなければなりません。
オイルは空気に触れると酸化しますし、時間の経過とともに劣化していきます。
そのため、余ったオイルの保管については以下の点を押さえておきましょう。
オイル交換自体は特に難しい作業ではありません。
ですが、経験や技術が必要な部分な部分もあり、失敗すると深刻な故障に繋がる恐れがあるため、注意する必要があります。
自分で行うのが困難だと思う方は、無理をせずプロに任せるのがおすすめです。
ですが、愛車のメンテナンスを自分で行うと愛着も深まるので、自分自身で作業を行いたいと思っている方は、ぜひこの記事を参考に、手順を理解したうえで必要な道具を用意し、正しい方法でオイル交換を行いましょう。
オイル交換後にエンジンの不具合や走行中の違和感を感じたら、作業工程に問題がなかったか、オイル量は適切だったかなど、違和感の原因を確認すると良いでしょう。
2りんかんでは、お得なオイル会員制度もありますので、適切な車体維持のために検討することをおすすめします。
オトクな2りんかんオイル会員制度はこちら→ https://2rinkan.jp/info/pit-service/2686/