バイクのパワーフィルターの効果とは?メリットやデメリット、選び方のポイントも解説
バイクのエンジン性能を維持するために重要なパーツであるエアクリーナーですが、エアクリーナーをパワーフィルターに付け替えた場合の効果が気になる方は多いのではないでしょうか。
本記事では、パワーフィルターの期待できる効果やデメリットについて解説します。
結論として、パワーフィルターは純正のフィルターよりもより多くの空気を取り込めるようになるため、エンジン性能を向上させることが期待できますが、メンテナンスを疎かにしてしまうと性能を十分に発揮できないので、注意が必要です。
また、購入して後悔しないためのパワーフィルターの選び方についても説明していきますので、バイクのエンジンをパワーアップさせたい方は、この記事を参考にエアクリーナーとパワーフィルターの違いやそれぞれの違いを理解し、適切なものを選びましょう。
バイクのエンジンには、一般的に空気を取り入れる入口部分に純正のフィルターであるエアクリーナー(エアフィルター)が取り付けられています。
エンジン内にゴミや砂ぼこりなどの進入を防ぐのがエアクリーナーの役割です。
エンジンは、取り入れた空気と燃料を気化させたものとを混ぜ、その混合気を燃焼させ爆発させることで動力を得ていますが、大気中にはホコリや砂などの不純物が多く含まれており、エンジンにこれらが混入してしまうと、燃焼に異常が起きたり、エンジンの破損の原因になったりすることがあります。
そのため、エアクリーナーがエンジンを守る重要な役割を果たしているのです。
パワーフィルターは、純正のエアクリーナーよりも通気性に優れた素材を使用したエアクリーナーの総称で、純正交換タイプやエアクリーナーボックスを外してキャブレターに直接取り付けるタイプが用意されています。
吸気効率を高めながら、ホコリや微粒子を取り除き、エンジンのパフォーマンスを高めます。
エンジンが高回転域で効率的に燃焼を行うために、吸気抵抗を減らし、より多くの空気量を確保するためにパワーフィルターは最適な部品です。
特にオフロードやダートバイクの場合、埃や泥などの粒子がエンジンに侵入するリスクが高いため、適切なフィルターを選ぶことがさらに重要です。
したがって、パワーフィルターの選択と定期的な交換は、バイクの性能と耐久性を確保する上で欠かせない要素です。
純正のエアクリーナーでも空気を取り込みますが、エアクリーナーボックスが空気抵抗を作り出すため、吸収量が抑えられてしまいます。
ですが、エアクリナーボックスを外し、キャブレターに直接取り付けるタイプのパワーフィルターなら空気の流入を妨げずより多くの空気を取り込み、高回転域でエンジンがスムーズに回るようになります。その代わり低回転では、吸入空気の流速が落ち込み、吹け上がりが悪くなる事があります。
パワーフィルターの交換費用は、バイクの気筒数や排気量によっても異なりますが、キノコ型では1気筒あたり5,000~10,000円ほどが目安となります。純正交換タイプなら5,000~15,000円の範囲で使う素材やメーカーよって値段が変わってきます。
純正のエアクリーナーは2,000〜3,000円程度で購入できるものが多いため、価格がやや高くなります。
交換を行う場合は商品を購入したショップに依頼することになりますが、その場合は工賃も別途必要です。
エアクリーナーの交換時期は約10,000~20,000kmですが、パワーフィルターは汚れやすく、こまめな清掃や交換が必要となります。
パワーフィルターを交換もしくはクリーニングをする目安としては、3,000~5,000km程度です。
パワーフィルターの交換を怠っていると、以下のトラブルを発症する可能性があります。
そのため、定期的なメンテナンスを忘れないようにしましょう。
パワーフィルターを取り付けると、主に以下4つの効果が期待できます。
パワーフィルターは空気中のゴミやホコリを取り除きながら、エンジンへより多くの空気を送り込めることから、バイクの性能向上や燃費改善に効果を発揮するのです。
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
パワーフィルターは、主に吸気効率の向上を目的として設計されています。
純正エアクリーナーに比べ、エンジン内に取り込む空気の流入抵抗を軽減でき、より多くの空気を取り込め、スムーズな回転や燃焼向上に役立ちます。
その結果、加速感の向上や高回転域でのパワーアップが期待できます。
パワーフィルターを取り付けることでエンジンの音色にも影響を与えます。
純正のエアクリーナーは吸気音を抑える構造になっているので、取り外してキャブレターに直接取り付けるキノコ型のパワーフィルターなら、エンジンの吸気音がダイレクトに聞こえやすいです。
そのため、スポーティーで迫力のある印象に変わります。
パワーフィルターによって吸気効率が向上することで、燃費の燃焼効率が向上することが期待できます。
一般的にパワーフィルターは、エンジンへの空気流入量を増加させるため、特に高速道路で長距離を走行する場合などのように、エンジンが安定して稼働する場合には、燃費が改善され、ガソリン代を節約できる可能性が高いです。
ただし、実際の効果については取り付けたパワーフィルターの種類やバイクの走行条件、エンジンの状態など様々な条件によるため、必ずしも燃費の改善効果があるわけではないと覚えておきましょう。
キノコ型のパワーフィルターは清掃や交換などが比較的容易にできるため、メンテナンスがしやすい点もメリットです。
定期的なメンテナンスはエンジン性能の向上にも直結しますし、フィルターを綺麗に保てると長持ちするため、結果的にメンテナンス費用を抑えることができるでしょう。
パワーフィルターがあることで多くのメリットが期待できる一方で、以下のデメリットがある点を覚えておきましょう。
それぞれ詳しく説明していきます。
パワーフィルターを取り付けると、純正のフィルターよりも多くの空気を取り込めるようになるため、バイクの吸気音が顕著に大きくなる場合があります。
ライダーにとっては魅力に感じても、周りの人にとっては騒音に感じてしまう可能性があるので、注意が必要です。
特に、加速時に音が際立つため、静かな乗り心地を好む人や静かな住宅街を走行する方にとっては不向きであるといえるでしょう。
そのため、パワーフィルターの取り付けを検討する際は、自分の走行環境や好みはもちろん、音の変化とそれが周囲に与える影響なども十分に考慮することが大切です。
キノコ型のパワーフィルターを取り付けると高回転では吸入抵抗の大幅な低減が期待できますが、低回転では、吸入空気の流速が遅くなり、吹け上がりにもたつきが発生したり、トルク不足を感じる事があります。
高速道路での走行のように高速域でパワーを発揮できても、渋滞時や街乗りなど低速での運転には向かない可能性が高いです。
そのため、バイク初心者の方や普段から低速運転をしている方にとっては、乗り心地が悪くなることがあります。
パワーフィルターは純正のエアクリーナーよりも高いフィルタリング性能を発揮しますが、その分汚れやすく、清掃や交換などメンテナンスの頻度が高くなります。
これらを疎かにしたり不適切なメンテナンスをしたりしていると、パワーフィルターに汚れが蓄積することで空気をエンジン内部に供給することができなくなります。そのため、燃焼効率が下がることでエンジン性能の低下に繋がる恐れがあるため、注意が必要です。
インジェクション車は燃料を自動で調整してくれるため、エンジンの不調が分かりづらく、「気付いたら燃費が悪化していた」ということもあり得るので、不調を感じなかったとしても、定期的な点検や交換を行うと良いでしょう。
パワーフィルターのメンテナンス方法は商品によって異なるため、取り扱い方法を確認する必要がありますが、エアーでゴミを吹き飛ばしたり、フィルターの材質がスポンジであれば、基本的に専用の洗剤で水洗いした後、自然乾燥させて、オイルを少量揉み込んだりして綺麗にします。
価格が安いものは水洗いできず、汚れたら交換しなければならない可能性が高いです。
パワーフィルターが汚れているにも関わらずバイクを走行させると、エンジン不調となり燃費や加速性能が低下する恐れがあるので、定期的にメンテナンスをして綺麗に保ちましょう。
パワーフィルターは、エアクリーナーに比べて購入費用がやや高くなる傾向にあります。
さらに、パワーフィルターを取り付けた後、空気の供給される量が変化するため、エンジン内部の空燃比が変化してしまいます。そのため、正しい空燃比でエンジン性能を向上させるためには、適切なキャブレターやインジェクションの調整が必要です。
このセッティングを行うには専門的知識や技術が要するため、自分で行えない場合はバイクショップなど専門店に依頼しなければならず、前述した通り定期的なパワーフィルターの交換、メンテナンスも要します。
その結果、購入費用やメンテナンス費用、ショップに依頼した場合の工賃など、様々な費用がかかる点を考慮しなければなりません。
エンジン性能を向上させる目的でパワーフィルターを取り付けるのですが、実際には「エンジン性能が上がらない」「意味がない」と感じるライダーもいるようです。特にインジェクション車両は、空気の流入量と燃料噴射量を自動で補正し、基準の範囲内に収めるため、パワーフィルターに交換しても、大きくパワーアップすることはほぼ有りません。
先述した通り、パワーフィルターの種類やバイクの使用条件、エンジンの状態など様々な条件に左右されますし、汚れやすいパワーフィルターの定期的な交換やメンテナンスをしなければパワーを最大限に発揮できないからです。
逆に、パワーフィルターを取り付けたことによってエンジンへの負荷が増える可能性もあり、長期的に見てエンジンの耐久性に影響を与えてしまう場合がある点を覚えておいた方が良いでしょう。
パワーフィルターは数多くの種類のものが販売されているため、どれを選べば良いか迷ってしまう方もいるでしょう。
そこで、パワーフィルターの失敗しないための選び方について説明していきます。
バイクにパワーフィルターを取り付けるためには、キャブレターの径に適合している必要があります。
キャブレターの径はバイクの車種やキャブレターの種類によって異なるため、パワーフィルターにも様々な種類が存在するのです。
そのため、購入前にキャブレターの径を計測しておかなければなりません。
パワーフィルターには、純正交換タイプ・筒型・キノコ型など様々な種類があり、それぞれに特徴があります。
また、フィルターの素材も金属やスポンジなど商品によって異なります。純正交換タイプは純正エアクリーナーと同形状なので、バイクの外観や吸入音をほぼ替えずに吸入量の上乗せが可能です。キノコ型よりも吸気効率は落ちますが、低回転でのもたつきが発生しづらく、街乗りメインの方は純正交換タイプがおすすめです。
バイクによってキャブレター部分のスペースが違うため、スペースがない場合は多少変形しても問題がないスポンジタイプを選ぶのがおすすめです。
また、キノコ型は吸気効率を上げるのに適した形状のため、より吸気量を増やしたい場合はキノコ型を選ぶと良いでしょう。ただし、低回転域での扱いづらさも発生してしまうので、街乗りには不向きになるかもしれません。
キノコ型のパワーフィルターを装着したバイクで雨の中を走行すると、フィルターが雨水を吸い込んでしまい、空気を吸い込みづらくなる可能性があります。
そうすると、空気と燃料の混合比が悪くなり、最悪の場合エンストしてしまう恐れがあるのです。
そのため、天候が悪い中でもバイクを走行することがある場合、パワーフィルターか純正交換タイプを選ぶと良いでしょう。
サイズや形状、対応可能な天候を考慮したうえで、信頼できるメーカーで選ぶのがおすすめです。
安く購入できるノーブランドのパワーフィルターも多くありますが、エンジンを動かすのに重要なパーツであるため、性能や耐久性を考えると実績の豊富な有名メーカーのものが安心できるでしょう。
パワーフィルターを取り付けると、一般的に純正のフィルターよりも多くの空気を取り込むことができるようになり、主に以下の効果が期待できます。
ただし、同じくらいのデメリットもあるほか、純正のものよりもさらに頻繁なメンテナンスが必要になります。
そのため、メリットとデメリットそれぞれを把握し、必要性を感じた場合に取り入れるのがおすすめです。
パーツを細部までこだわり、試行錯誤しながら自分好みに仕上げるのがバイクの醍醐味なので、ぜひこの記事を参考にベストなアイテムを選択していただけたらと思います。
エンジンの不具合や、走行中の違和感を感じた方は、違和感の原因を確認すると良いと思います。
2りんかんでは、国家整備士が法定点検も行っていますので、ぜひご気軽に来店ください。