3つの整備項目から始める実践バイクメンテナンス|揃えるべき工具も解説
そんな悩みをお持ちのバイク初心者の方も多いのではないでしょうか。
バイクのメンテナンスは、愛車を安全に長く乗り続けるために欠かせない作業です。
この記事では、自分でできる簡単な作業から、初心者が手を出さない方がいい整備項目、揃えるべき工具まで詳しく解説しています。
定期的なメンテナンスを行うことで、故障のリスクを減らせるだけでなく、バイクへの愛着もより一層深まるでしょう。
この記事を参考にして、明日からでも愛車のメンテナンスを始めてみてください。
愛車を長く安全に楽しむためには、日常のメンテナンスが欠かせません。初心者の方にとってはハードルが高く感じるかもしれませんが、基本的な知識を身につけ、簡単なメンテナンスから始めましょう。
バイクのメンテナンスは、安全性と経済性の両面から重要です。定期的なメンテナンスを行うことで、ブレーキやタイヤなどの重要な部品の劣化を早期に発見し、事故のリスクを低減できます。また、エンジンオイルやエアフィルターなどの消耗品を適切に交換することで、エンジンの性能を維持し、燃費向上にも役立ちます。
バイクに乗る前の日常点検は、安全確保のために欠かせません。点検項目を覚えるための便利な2つの合言葉があります。
一つは、警視庁が推奨する【ネンオシャチエブクトウバシメ】という合言葉。バイクの各部位の点検項目を覚えやすくするために作られたものです。
もう少し覚えやすい簡易版として、【ブタと燃料】という合言葉もあります。
初心者でも覚えやすく、日常点検を習慣化するために役立つでしょう。
バイクメンテナンスを始めたばかりの方でも、安全に実践できる基本的な作業があります。ここでは、初心者でも簡単にできるメンテナンス作業を3つ紹介します。これらの作業は、特別な技術や高価な工具を必要とせず、定期的に行うことでバイクの状態を良好に保つことができます。
洗車は、バイクを美しく保つだけでなく、バイクの状態をチェックするかめにも役立ちます。洗車中に各部を注意深く観察することで、小さな傷や錆、オイル漏れなどを早期に発見することができるのです。
汚れが付着したまま放置すると、塗装の劣化や錆の発生を促進させてしまいます。特にチェーンに付着した汚れは、潤滑不良を引き起こし、チェーンの摩耗を早めてしまいます。
洗車の際には、バイク専用のシャンプーとスポンジを使用し、優しく丁寧に洗いましょう。エンジンやブレーキ周りなど、熱を持つ部分は、冷めてから洗ってください。洗車後は水気をしっかり拭き取り、錆止めスプレーなどを塗布することで、錆の発生を予防するのがおすすめです。
タイヤの空気圧は、バイクの走行性能や安全性に大きく影響します。
空気圧が適正値よりも低いと、ハンドリングに悪影響を及ぼします。理由は、タイヤの接地面積が増加して路面抵抗が大きくなるから。燃費が悪化するだけでなく、バーストのリスクも高まります。
タイヤの空気圧は、ガソリンスタンドや自宅で簡単にチェックすることができます。空気圧計を用いて、タイヤの側面に記載されている適正空気圧に合わせて調整しましょう。空気圧のチェックは、少なくとも月に1回は行うように心がけてください。
チェーンは、エンジンの動力を後輪に伝える重要な役割を担っており、定期的な清掃と注油が欠かせません。
チェーンに汚れが付着したまま放置すると、潤滑不良を引き起こし、チェーンやスプロケットの摩耗を早めてしまうからです。錆がひどくなるとチェーンの動きが悪くなり、最悪の場合は走行中に切れてしまうことも。
チェーンの清掃には、専用のチェーンクリーナーとブラシを使用します。クリーナーをチェーン全体に吹き付け、ブラシで汚れを丁寧に落としましょう。その後、パーツクリーナーなどでクリーナーの残留物を除去し、チェーン全体を綺麗にします。
清掃後は、チェーンルブを塗布し、チェーン全体に潤滑剤を行き渡らせます。チェーンルブにはドライタイプとウェットタイプがあり、走行環境や好みに合わせて選べます。チェーン全体に薄く、均一に塗布してください。
基本的なメンテナンスに慣れてきたら、少しステップアップした作業にも挑戦してみましょう。
ここでは、初心者でも比較的取り組みやすい3つのメンテナンス作業をご紹介します。
エンジンオイルは、エンジンの潤滑や冷却、洗浄など、重要な役割を担っています。オイルは走行距離や時間とともに劣化するため、必ず定期的に入れ替えなければなりません。
劣化して粘度が低下したオイルは、エンジン内部の摩擦抵抗を増大させ、エンジンの性能低下や燃費悪化に繋がります。スラッジと呼ばれる汚れが蓄積すると、オイル通路を詰まらせ、エンジン故障の原因となることも。
オイル交換の作業自体は、さほど難しいことはありません。基本的な手順は以下の通りです。
オイル交換を自分で行う際は、適切な工具と正しい手順が重要です。特に、オイルドレンボルトの締め付けトルクには注意してください。初心者は締め付けすぎてネジがなめてしまうケースが多いです。
オイル交換の頻度は、一般的に3,000kmごと、または半年ごとが目安です。頻繁に高速走行や山道走行をする場合は、より短い間隔で交換したほうが良いでしょう。
スパークプラグは、エンジンの燃焼室で混合気に点火するための重要な部品。プラグが劣化すると、エンジンの始動性や加速性能が低下し、燃費が悪化する原因となります。
プラグ交換の手順は、以下の通りです。
プラグ交換の頻度は、サービスマニュアルに記載されていますが、一般的には10,000kmごと、または1年ごとが目安。走行条件やプラグの種類によって交換時期が異なる場合もあるため、定期的にプラグの状態をチェックすると良いでしょう。スポーツバイクなどの水冷フルカウル車両は、カウルの取り外しやプラグへのアクセス方法が独特な場合があります。目視でプラグが見えない車両は、ショップに任せてしまう方が懸命です。
バイクには、様々なボルトやナットが使われており、それぞれ適切な締め付けトルクが決められています。締め付けトルクが不足していると、部品が緩んで脱落する危険性があり、逆に締め付け過ぎると、部品を破損してしまう可能性があります。
締め付けトルクの確認には、トルクレンチと呼ばれる専用の工具を使用します。
トルクレンチは、設定したトルク値に達すると音や感触で知らせてくれるため、適切なトルクで締め付けることができます。
締め付けトルクの確認は、特に重要保安部品と呼ばれる、ブレーキやサスペンションなど、安全走行に直結する部品に対して行うようにしましょう。
特に注意が必要な箇所は以下の通りです。
定期的に各部のボルトやナットの緩みを確認することも大切です。
バイクのメンテナンスの中には、専門的な知識や技術が必要な作業もあります。以下のような作業は、無理に自分で行うよりも、バイクショップに依頼した方が安心です。
ブレーキパッドが摩耗すると制動力が低下するため、定期的な交換が必要です。
ブレーキパッドの交換作業は、ブレーキキャリパーの分解やピストンの押し戻しなど、ある程度の知識と技術が必要です。ブレーキフルードの交換やエア抜き作業が必要になる場合は、初心者が自分で行うのは難しいでしょう。
ブレーキは、バイクの安全に関わる重大な部分。パッドの交換だけならDIYでも不可能ではないものの、万が一失敗した場合のリスクの大きさを考えると、専門店に依頼するほうが安心です。
ブレーキパッドの交換時期は、使用状況によって異なりますが、一般的には15,000km〜20,000km走行ごと、またはパッドの厚さが使用限度(通常2mm程度)に達した時点が目安。ショップでの交換を依頼する際は、普段の使用状況や気になる点などを詳しく伝えましょう。
チェーンが緩すぎるとスイングアームやフレームに接触し、異音や振動が発生することもあります。一方、チェーンが張りすぎていると、チェーンやスプロケットに過剰な負荷がかかり、摩耗が早まります。
チェーンの調整は、アクスルナットを緩め、アジャスターボルトを回してチェーンの張り具合を調整します。調整後は、アクスルナットを規定トルクで締め付け、チェーンの張り具合を再確認。
簡単なようですが、正確な調整と締め付けトルク管理が必要となるため、専門店に依頼した方が安心でしょう。万が一走行中にチェーンが外れたり切れたりしたら、重大な危険に直結します。
チェーンの調整時期は、一般的には1,000~2,000kmごと、または月に1回程度の点検が推奨されています。
エンジンやキャブレター、電子制御系統、サスペンションは、バイクの心臓部とも言える重要な部品です。これらのメンテナンスは、高度な専門知識と技術を必要とするため、プロのメカニックに任せましょう。
エンジンの分解整備やキャブレターの調整、電子制御系統の診断は、誤った作業を行うと重大な故障や事故につながる可能性があります。サスペンションの調整も、乗り心地や安全性に直結するため、プロの手に委ねることをおすすめします。バイクショップで定期的に点検し、必要に応じてプロに依頼しましょう 。
初心者の方でも、基本的な工具があれば多くのメンテナンス作業を自分で行うことができます。ここでは、以下の2つの観点から、メンテナンスに必要な工具と用品について解説します。
バイクメンテナンスを始めるにあたって、最初に揃えておきたいアイテムを紹介します。
上記を揃えることで、日常点検や基本的なメンテナンス作業のほとんどをカバーできます。初心者の方は、まずはこれらの基本工具から始め、経験を積みながら必要に応じて工具を追加していくと良いでしょう。
メンテナンス用品を選ぶ際には、品質と使い勝手を重視しましょう。オイルやグリス、クリーナーなどのケミカル用品は、信頼できるメーカーの製品を選ぶのがおすすめです。
チェーンルブやクリーナーは、バイクの種類や使用状況に合わせて選びましょう。チェーンルブには、シールチェーン用とノンシールチェーン用があります。
安価な工具や用品は、耐久性や精度が低い場合があるため、信頼できるメーカーの製品を選びましょう。
バイクを良好な状態に保ち、安全に長く乗り続けるためには、定期的なメンテナンスと記録管理が重要です。ここでは、メンテナンスの頻度と記録の重要性について解説します。
バイクに乗る前は、必ず簡単な点検を行いましょう。安全な走行を確保するための基本中の基本です。
点検項目は、前述した【ネンオシャチエブクトウバシメ】と【ブタと燃料】を参考に、以下の点を確認しましょう。
これらの項目に異常がないか、目視や触診で確認します。わずか数分間の点検で、大きなトラブルを未然に防ぐことができるので、必ず行うようにしましょう。
日常点検に加えて、定期的なメンテナンスも必要です。
定期メンテナンスの頻度は、バイクの種類や走行距離、使用状況によって異なりますが、一般的な目安としては以下を参考にしてください。
メンテナンス作業をしたら、作業内容を記録しておくことが重要です。記録をつけることで、次回のメンテナンス時期を把握したり、過去の作業内容を振り返ったりすることができます。
記録する項目としては、以下の内容が挙げられます。
記録は、ノートや手帳に手書きで記録しても良いですし、スマホアプリやパソコンソフトなどを活用しても良いでしょう。重要なのは、自分に合った方法で、継続的に記録をつけることです。
バイクメンテナンスは、正しく行わなければ、バイクを破損したり、ケガをしてしまう可能性があります。ここでは初心者が陥りやすいメンテナンスの失敗として、下記の3つのケースについて解説します。
ボルトやナットを締め付ける際、トルクレンチを使用せずに感覚で締め付けてしまうと、ネジを破損させてしまうことがあります。
ボルトやナットは、それぞれ適切な締め付けトルクが決められており、それ以上の力を加えると、ネジ山が潰れたりボルト自体が折れてしまったりするのです。特にアルミやマグネシウムなどの軽量素材で作られた部品は、強度が低いため締め付け過ぎに注意が必要です。
ボルトやナットを締め付ける際はなるべくトルクレンチを使用し、サービスマニュアルに記載されている規定トルクで締め付けるようにしましょう。
オイル交換やプラグ交換、エアクリーナー交換は簡単な作業と思われがちですが、異物混入のリスクが大きい作業項目でもあります。
エンジン内部に砂や埃などの異物が混入すると、ピストンやシリンダーを傷つけ、エンジンの性能を著しく低下させる原因になりかねません。オイルはエンジン内を循環する液体ですし、プラグやエアクリーナーはシリンダーに直結しています。
万が一、交換作業中に異物が入ってしまうと重大なリスクにつながります。自分で交換作業を行う場合はなるべく屋内で行い、作業前にブロアなどでホコリを飛ばしてから作業に入りましょう。
迅速に作業を終えることも重要です。くれぐれも、軽い気持ちで作業しすぎないように注意してください。
適切な工具を使用しないと、部品を傷つけたり、破損させてしまうことがあります。
サイズの合わないスパナやレンチを使用すると、ボルトやナットを舐めてしまい、取り外せなくなってしまう可能性があります。もちろん、ハンマーなどで部品を叩いて無理に取り外そうとするのは論外。部品を取り外す際は、適切な工具を使用し、無理な力を加えないように注意しましょう。
工具は用途に合った工具を選び、品質の良い工具を使用することが重要です。安価な工具は強度が低く、破損しやすいため注意が必要です。
バイクのメンテナンスは、愛車を安全に長く楽しむために欠かせないものです。
最初は難しそうに感じるかもしれませんが、基本的な知識と手順を理解すれば、初心者でも十分にメンテナンスを行うことができます。
まずは簡単な日常点検から始め、徐々にできることを増やしていきましょう。専門的な知識や技術が必要な作業は、無理せず専門店に依頼することも大切です。
愛車を大切にメンテナンスすることで、バイクとの絆はより一層深まり、安全で快適なバイクライフを楽しむことができるでしょう。
また全国60店舗以上で展開しているバイクショップの2りんかんでは、国家整備士が法定点検を実施しています。バイクのパーツは日に日に劣化していきますので、目に見えない部分に危険が発生していないとも限りません。まずは一度点検を行うことをおすすめします。
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