【バイク初心者向け】リチウムイオンバッテリーでよくある5つのトラブルと対策を徹底解説
バイク用リチウムイオンバッテリーに興味はあるものの、トラブルが心配で踏み切れない方も多いでしょう。
軽量化や長寿命といった魅力的な特徴を持つリチウムイオンバッテリーですが、従来の鉛バッテリーとは異なる特性があり、適切な知識がないと思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。
この記事では、リチウムイオンバッテリーの基礎知識からトラブル対策、正しい選び方まで徹底解説します。初心者の方でも安心してリチウムイオンバッテリーを使用できるよう、実践的なアドバイスをお届けします。
リチウムイオンバッテリーの特性を理解し、トラブルを未然に防ぐ方法を習得するために、ぜひ最後までお読みください。
リチウムイオンバッテリーは、リチウムイオンの移動を利用して充放電を行う二次電池の一種です。従来の鉛バッテリーと比べて、多くの優れた特性を持っています。
ここでは、リチウムイオンバッテリーの基本的な特徴と、メリット・デメリットについて詳しく見ていきましょう。
リチウムイオンバッテリーは、従来からバイク用バッテリーとして広く使用されてきた鉛バッテリーと比べて、いくつかの点で大きく異なります。
リチウムイオンバッテリーの大きな特徴の一つは、軽量であること。同じ容量の鉛バッテリーと比較すると、リチウムイオンバッテリーの重量は約1/3程度しかありません。
バイクの全体重量も軽くなるため、ハンドリングや燃費の向上につながります。特に、軽量化が求められるオフロードバイクやスポーツバイクにおいては、大きなメリットと言えるでしょう。
自己放電とは、バッテリーを使用していなくても自然に電力が減少していく現象のことです。鉛バッテリーの自己放電率が1か月あたり約20%なのに対し、リチウムイオンバッテリーは5%程度です。
鉛バッテリーは長期保管するとバッテリーが自然放電して上がってしまいますが、リチウムイオンバッテリーはその心配が少ないです。特に冬季など、バイクの使用頻度が低い時期に大きなメリットとなります。
リチウムイオンバッテリーは、鉛バッテリーと比べて高い出力を発揮することができます。そのため、エンジンの始動性が良いのが特徴です。特に、頻繁にエンジンを始動する必要がある環境で心強いメリットと言えるでしょう。
また、寿命も鉛バッテリーよりも長く、適切に使用すれば交換頻度を大幅に減らすことができます。
リチウムイオンバッテリーには、バイク用バッテリーとして多くのメリットがあります。ここでは、特に重要なメリットについて詳しく解説します。
リチウムイオンバッテリーは、鉛バッテリーと比べて約1/3の重量と非常に軽量です。この軽量化は、バイクの運動性能に大きく貢献します。
軽量化によるメリットは、主に以下の3点です。
リチウムイオンバッテリーは長寿命で交換頻度が少ないため、長期的に見てコストの削減が可能です。一般的には鉛バッテリーの約2倍の寿命が期待できるため、頻繁なバッテリー交換の手間を省けます。
長寿命であることのメリットは以下の3つ。
リチウムイオンバッテリーには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットや注意点も存在します。よく理解したうえで導入を検討してください。
リチウムイオンバッテリーは、鉛バッテリーとは充電方法が異なり、専用の充電器が必要となります。これは、リチウムイオンバッテリーの特性に合わせて、適切な電圧と電流で充電を行う必要があるためです。
鉛バッテリー用の充電器を使用すると、過充電やバッテリーの損傷を引き起こす可能性がありますので、必ずリチウムイオンバッテリー専用の充電器を使用するようにしましょう。
過放電とは、バッテリーの電圧が極端に低下してしまう状態のこと。リチウムイオンバッテリーは過放電に弱く、一度過放電してしまうと、二度と充電できなくなってしまう可能性があります。
バッテリー残量が少なくなってきたら、早めに充電するように心がけましょう。長期間バイクに乗らない場合は、バッテリーを外して保管することをおすすめします。
リチウムイオンバッテリーは、温度変化に対して非常に敏感です。特に低温環境では、性能が著しく低下することがあります。寒冷地ではバッテリーが十分に機能しなくなる可能性があり、保管場所や使用環境に配慮が必要です。
高温にも注意してください。直射日光の当たる場所や高温になる場所にバッテリーを放置しないように注意しましょう。
リチウムイオンバッテリーは、衝撃や振動にも弱いという側面があります。強い衝撃や振動が加わると、バッテリー内部が損傷し、性能低下や発火の原因となる可能性があります。
バッテリーの取り付けは確実に行い、走行中は振動によるバッテリーへの負担を軽減する対策を講じるようにしましょう。特にオフロードバイクなどで使用する場合は注意が必要です。
リチウムイオンバッテリーは、鉛バッテリーと比べて価格が高いというデメリットがあります。しかし、長寿命であることを考慮すると、長期的なコストパフォーマンスは決して悪くありません。
購入時には、価格だけでなく、性能や信頼性なども考慮して選ぶことが重要です。
リチウムイオンバッテリーは、正極、負極、電解質、セパレーターという4つの主要な構成要素から成り立っています。充電時には、リチウムイオンが負極から正極へ移動し、放電時には正極から負極へ移動することで電流が発生します。
種類としては、正極材料に用いられる物質によって、コバルト酸リチウム系、マンガン酸リチウム系、リン酸鉄リチウム系など、様々なタイプが存在します。
リチウムイオンバッテリーは、適切な使い方をすれば長寿命で高性能なバッテリーですが、使い方を誤ると様々なトラブルが発生する可能性があります。ここでは、よくあるトラブル事例と対処法を詳しく解説します。
リチウムイオンバッテリーは、低温環境下では性能が低下しやすくなります。これは、バッテリー内部の化学反応が遅くなるためです。気温が5℃以下になると顕著になり始め、0℃近くではバッテリーが完全に使用できなくなる可能性があります。完全に放電してしまったわけではなく、25℃以上の温度下でなら使用可能な充電状態でも突然反応しなくなったように見えるため「冬眠」と表現されることもあります。
そのため、冬場の低温環境下ではセルの回転が遅くなり、エンジン始動が困難になってしまうのです。
冬の寒い日にエンジンがかからないときは、下記のような「儀式」によってリチウムイオンバッテリーを再活性化させる方法があります。
この「儀式」により、バッテリー内部の化学反応が促進されて温度が上昇し、性能が回復します。ただし、気温や保管状態によっては、一回の「儀式」で始動できない場合もあるでしょう。
事前にできる対策としては、バッテリーを保温する、あるいは事前に暖めておくなどの方法があります。また、冬場はバッテリーの電圧をこまめにチェックし、必要に応じて充電するようにしましょう。
リチウムイオンバッテリーにとって、過放電は非常に危険な状態です。過放電の状態が続くとバッテリー内部の化学反応が停止し、再充電ができなくなる可能性があります。
過放電が起こる主な原因には、以下のようなものが考えられます。
過放電状態からの復旧方法は、以下のとおりです。
ただし、これらの方法を試しても回復しない場合は、バッテリーが完全に劣化している可能性が高く、交換が必要になります
リチウムイオンバッテリーには、BMS(バッテリーマネジメントシステム)が搭載されていることが多いです。
BMSは、リチウムイオンバッテリーの性能を最適化し、安全性を確保するための重要な機能。BMSにトラブルが発生すると、バッテリー全体の機能に影響を与える可能性があります。
BMSの主な役割は以下のとおりです。
BMSのトラブルは、以下のような症状として現れることがあります。
BMSのトラブルが疑われる際は、バッテリーを完全に取り外し、再度接続することでBMSをリセットできる場合があります。また、ファームウェアの更新により問題が解決する可能性も考えられます。
BMSのトラブルを防ぐためには、信頼性の高いメーカーのバッテリーを選び、定期的にバッテリーの状態をチェックすることが重要です。また、異常を感じた場合はすぐにバイクショップに相談するなどの対策を講じましょう。
リチウムイオンバッテリーの充電不良の原因は、バッテリー本体の故障だけでなく、充電器の選定ミスや使用方法の誤りなどが考えられます。
充電不良の主な原因には以下のようなものがあります。
充電器の選定ミスは見過ごされがちですが、重大な問題を引き起こす可能性があります。リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリーとは異なる充電特性を持つため、専用の充電器が必要です。
また、充電器の出力電圧や電流がバッテリーに合っていない場合も、充電不良の原因となります。充電器を購入する際は、バッテリーの仕様を確認し、適合するものを選ぶようにしましょう。
リチウムイオンバッテリーの過充電は、単なる性能低下にとどまらず、発火や爆発といった重大な事故につながる可能性があります。過充電とは、バッテリーが満充電になった後も、充電を続けてしまう状態のことです。
過充電が引き起こす主な問題は以下のとおりです。
過充電を防ぐためには、リチウムイオンバッテリー専用の充電器を使用することが重要です。専用の充電器は、バッテリーが満充電になると自動的に充電を停止する機能が備わっているため、過充電を防ぐことができます。
また、充電中はバッテリーの状態を定期的に確認し、発熱や異臭などの異常が見られた場合は、すぐに充電を中止するようにしましょう。
旧車にリチウムイオンバッテリーを搭載する場合、いくつかの注意点があります。旧車の電気系統は、リチウムイオンバッテリーに対応していない場合があり、トラブルが発生する可能性があるためです。
旧車にリチウムイオンバッテリーを使用する際の最大の注意点の一つが、レギュレーターの電圧設定です。レギュレーターは、バイクの発電機(オルタネーター)が生成する電圧を制御し、バッテリーに適切な充電電圧を供給する部品です。旧車のレギュレーターは鉛バッテリー用に設計されており、その充電電圧はリチウムイオンバッテリーに適していない場合があります。
問題となる主な点は以下のとおりです。
以下のような場合、充電系統の改造が必要になります。
リチウムイオンバッテリーを安全にそして適切に充電するためには、以下のような方法が考えられます。
ただし、充電管理を含む電装系の改造には専門的な知識と技術が必要なため、よほど自信がない場合はショップに相談することをおすすめします。その場合、部品や工賃も含めてある程度のコストがかかることは覚悟が必要でしょう。
旧車は、最新のバイクと比べて振動が大きい傾向があります。リチウムイオンバッテリーは振動に弱いため、振動対策が不十分だとバッテリーが故障する原因となる可能性があります。
バッテリーをしっかりと固定する、振動吸収材を使用するなど、振動対策をしっかりと行うようにしましょう。具体的には、以下のような方法があります。
数多くのメーカーから様々な種類のバイク用リチウムイオンバッテリーが販売されています。最適なバッテリーを選ぶためには、以下の3つのポイントを参考にしましょう。
まず、ご自身のバイクの車種に適合するサイズと電圧のバッテリーを選ぶことが重要です。バッテリーのサイズや電圧が合わないと、取り付けができないだけでなく、バイクの電気系統に悪影響を及ぼす可能性があります。
バイクの取扱説明書やバッテリーメーカーのウェブサイトなどで、適合するバッテリーのサイズと電圧を確認するようにしましょう。
バッテリーは、バイクの重要な部品の一つです。そのため、信頼性の高いメーカーの製品を選ぶことが大切です。
大手メーカーの製品は、品質管理が徹底されており、安全性も高い傾向があります。また、万が一トラブルが発生した場合でも、サポート体制が充実しているため安心です。
BMS(バッテリーマネジメントシステム)は、バッテリーの過充電、過放電、過電流などを防止するための保護回路のことです。BMSを搭載したバッテリーを選ぶことで、バッテリーを安全に使用することができます。
特にリチウムイオンバッテリーは過充電や過放電に弱いため、BMSを搭載したモデルを選ぶことをおすすめします。
リチウムイオンバッテリーは、軽量・長寿命・高出力という多くのメリットを持つ反面、従来の鉛バッテリーとは異なる特性を持つため、注意すべき点もいくつかあります。
この記事を参考に、ご自身のバイクに最適なリチウムイオンバッテリーを選び、快適なバイクライフを楽しまれることを願っています。
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