バイクタイヤのひび割れ、放置は危険?許容範囲と対策を徹底解説
バイクのタイヤにひび割れを見つけたら、心配になりますよね。
タイヤのひび割れは、放置すれば重大な事故につながる可能性もあり、悩ましい問題です。
この記事では、バイクタイヤのひび割れの原因と許容範囲、対策法まで、初心者の方にも分かりやすいよう詳しく解説します。タイヤの状態を正しく把握し、適切な対処をすれば、もうひび割れに悩まされる必要はありません。
愛車のタイヤについてより深く知るために、ぜひ最後までお読みください。
バイクタイヤのひび割れは、様々な要因が複合的に作用して発生します。ここでは、主な原因と種類について詳しく解説します。
タイヤはゴム製品であるため、時間の経過とともに劣化が進行し、ひび割れが発生しやすくなります。合成ゴムの化学的な安定性はさほど高くなく、一定の性質を保てる期間には限界があるのです。
タイヤの主成分であるゴムが空気中の酸素や水分と反応して、徐々に硬化していきます。この過程で、タイヤの表面に微細なひび割れが発生し始めます。
経年劣化は使用頻度に関わらず発生するため、全く乗っていないバイクのタイヤでも劣化します。
経年劣化を引き起こす要因としては上記のようなものがありますが、特に紫外線や熱の影響が大きいです。紫外線はゴムの分子構造を破壊し、高温はゴムを軟化させ、その後の冷却過程で硬化を促進します。
タイヤの空気圧不足もひび割れの原因の一つです。
タイヤがつぶれた状態で走行するとサイドウォールに負担がかかり、ひび割れが発生しやすくなります。タイヤの接地面積が増加することで、摩擦や熱が発生しやすくなるからです。
過積載でタイヤがつぶれている場合も、同じ状況が起こります。この状態が続くと、タイヤの側面にひび割れが発生しやすくなります。
タイヤのひび割れは、適切な洗車方法を知らずに行うことでも引き起こされる可能性があります。
強アルカリ性や強酸性の洗剤はタイヤのゴム成分を劣化させてしまうため、中性か弱アルカリ性の洗剤を使用しましょう。
保管環境も重要です。極端な温度変化や湿度の高い環境は、タイヤのゴム質を劣化させます。直射日光の当たる場所や、オゾンを発生させるエアコンの吹き出し口付近などは避けましょう。
タイヤのひび割れは、発生場所や形状によって分類することができます。
まず、発生場所による分類です。サイドウォール(タイヤの側面)に発生するひび割れは、空気圧不足や過積載が主な原因です。一方、トレッド(接地面)に発生するひび割れは、経年劣化や紫外線ダメージが主な原因とされています。
次に、形状による分類です。細かい網目状のひび割れは、主に経年劣化によるものです。特にオゾンの影響によるひび割れは、オゾンクラックと呼ばれます。一方、深い亀裂状のひび割れは、過度の負荷や衝撃によって発生することが多いです。
タイヤのひび割れは、その深さや場所によって危険度が異なります。ここでは、ひび割れの許容範囲を3段階に分けて解説します。
タイヤの表面に浅いひび割れが少し見られる程度であれば、許容範囲内と考えられます。この段階のひび割れは、通常の使用において即座の危険性はありません。
判断基準となる特徴は、タイヤのトレッド(溝)部分にのみ見られる微細な亀裂です。目視でかろうじて確認できる程度の深さで、具体的には1mm未満、長さが5mm未満のものが該当します。
このレベルのひび割れは、主に経年劣化や紫外線による自然な劣化プロセスの一部です。タイヤのゴムは時間とともに硬化し、微細な亀裂が生じるのは避けられない現象です。
ただし、通常の使用において問題ありませんが、無視して良いわけではありません。定期的な点検と記録を行い、進行状況を注意深く観察することが大切です。
ひび割れが少し深くなってきたり、サイドウォールに発生している場合は、要注意です。多くの場合、継続使用は可能ですが、より頻繁な点検と慎重な使用が求められます。
判断基準は、タイヤの表面に明確に見える亀裂が存在し、なおかつ深さが1mm程度であることです。
そのまま使い続ける場合は、以下の点に注意してください。
なるべく早めにタイヤ交換の計画を立てましょう。遅くとも1〜2ヶ月以内には交換することをおすすめします。
ひび割れが深く、幅が広い場合や、タイヤの内部構造が見えるほどひび割れている場合は、即交換が必要です。
ひび割れがタイヤ内部のカーカスに達している場合はバーストのリスクが高まります。
理由は、耐久性が落ちていることはもちろんですが、ひび割れからタイヤ内部に水が浸入することで、ゴムの劣化が促進されるためです。
発見した場合、以下のように対応しましょう。
高速道路での走行中にバーストが発生すると転倒し、重大な事故につながる可能性があります。
このレベルのひび割れがタイヤに見られる場合、走行不能と判断してください。
タイヤのひび割れを防止するためには、日頃からのメンテナンスが重要です。ここでは、タイヤのひび割れを防ぐための4つの重要なポイントについて詳しく解説します。
適正な空気圧を保つことは、タイヤの形状を正しく保ち、過度の変形を防ぐために欠かせません。
空気圧が低すぎるタイヤは走行中に変形し、側面部分に大きな負担がかかります。これがひび割れの原因となります。一方、空気圧が高すぎると中心部分が過度に膨らみ、路面との接地面積が減少してグリップ力が低下するだけでなく、衝撃吸収性も悪くなります。
適正な空気圧は、バイクのメーカーや車種、タイヤのサイズによって異なります。一般的には、下記の空気圧が推奨されています。
車種やタイヤによっても異なるため、必ず車両の取扱説明書やタイヤ側面に記載された推奨値を確認してください。
空気圧のチェックは、少なくとも月に1回、長距離走行前には必ず行うことをおすすめします。チェックの際は、以下の点に注意してください。
直射日光や高温は、タイヤのゴムを劣化させ、ひび割れを促進する原因となります。
直射日光や高温を避けるため、駐車や保管の際には以下の点に注意しましょう。
高温環境下での長時間の走行も避けたほうが良いでしょう。夏場の炎天下や高速道路での長時間走行は、タイヤに大きな熱負荷をかけます。このような状況下では、適度な休憩を取り、タイヤの冷却時間を確保することが重要です。
バイクタイヤのひび割れを防ぐ上で、定期的な点検と清掃はとても有効です。早期発見と適切な対処が、タイヤの寿命を延ばし、安全性を高めます。
定期点検は、少なくとも週に1回、または走行前に実施しましょう。点検の際は以下の点に注意してください。
清掃も定期的に行うことが大切です。タイヤに付着した泥や砂、油分などは、ゴムの劣化を促進する要因となります。
冬季に乗らないなど、サイドスタンドをかけた状態で、3ヶ月以上放置するとタイヤの一部分のみに重量がかかり、タイヤの部分的なひび割れや変形の要因になります。
センタースタンドがある車両は、センタースタンドをかけ、センタースタンドの無い車両は、レーシングスタンドを使用しタイヤを浮かせた状態で保管してください。センタースタンド、レーシングスタンドがない場合、最低でも1ヶ月に1度、車両の位置をずらしタイヤの同じ位置に負荷がかかり続けないようにしてください。
また、空気圧の確認も適度に行ってください。
過度の走行や高速走行は、タイヤに大きな負担をかけ、ひび割れの原因となる可能性があります。
適切な走行距離については、タイヤの種類や使用環境によって異なりますが、一般的には以下のような目安があります。
これらの距離を超えると、たとえトレッドの残りが十分であっても、ゴムの劣化によりひび割れのリスクが高まります。
速度管理に関しては、タイヤの最高速度規格を超えない範囲で走行することが重要です。タイヤサイドウォールに記載されている速度記号を確認し、それを超えないようにしましょう。例えば、「H」の場合は210km/h、「V」の場合は240km/h、「W」の場合は270km/hが最高速度となります。
もし、タイヤにひび割れを発見したら、どのように対応すれば良いのでしょうか。ここでは、ひび割れの程度に応じた適切な対応方法について解説します。
表面の浅いひび割れであれば、こまめな空気圧チェックで変化がないようならそのまま使用して問題ないでしょう。ただし、1~2ヶ月様子をみてひびが悪化するようなら交換してください。また、高速道路を走る予定がある場合は、軽度のひび割れであっても交換してください。
バイクタイヤに深部のひび割れを発見した場合、残念ながらそのタイヤは修理不可能と判断せざるを得ません。深さが3mm以上、または長さが10mm以上の亀裂が発見された場合、タイヤの構造的な完全性を損なっており、性能と安全性に重大な影響を与えます。
修理不可能な理由は以下の通りです。
このような場合、タイヤを即座に交換することが唯一の安全策です。
バイクのタイヤのひび割れは、軽度であれば交換せずに使用可能な場合もあります。しかし、ゴムが劣化していることに間違いないので、早い段階でショップに相談すると良いでしょう。
まず、コスト面での比較を見てみましょう。
次に、安全性の観点から比較します。
コストと安全性を考慮した判断基準を考えると、以下のようになります。
バイクタイヤの交換は、安全性を維持するために不可欠な作業です。ここでは、タイヤ交換の適切な時期、費用の目安、そして自分で交換する場合のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
タイヤの交換時期は、ひび割れの程度だけでなく、溝の深さや製造年月日なども考慮して判断する必要があります。溝が浅くなったり年数が経過したタイヤは、グリップ力が低下し、安全に走行できません。
タイヤ交換時期の主な判断基準は以下のとおりです。
バイクのタイヤ交換は、車両が大きくなればなるほど高額である場合が多く、バイク維持費の中でも比較的大きな割合を占めます。
タイヤ交換の平均的な費用と、賢く節約するためのコツについて解説します。
前後タイヤを交換する場合、一般的な街乗りバイクで2万〜6万円程度、スポーツバイクでは8万〜12万円以上かかる可能性があります。
節約のコツとしては、以下のような方法が考えられます。
タイヤ交換の費用は決して安くありませんが、適切な情報収集と管理により、ある程度の節約は可能です。ただし、安全性を最優先に考え、品質と信頼性の高いタイヤを選びましょう。適切なタイヤ選びと管理により、長期的には安全性の確保とコスト削減の両立が可能になります。
タイヤ交換は、バイクショップに依頼する以外にも、自分で行うこともできます。自分でタイヤを交換することには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
初心者の場合は、安全性を考慮して専門店での交換をおすすめします。ただし、経験を積んだライダーであれば、自己交換によってコストを抑えることができるでしょう。
バイクタイヤのひび割れは、放置すると安全な走行を脅かす危険性があります。定期的な点検と適切なメンテナンスを行い、安全で快適なバイクライフを送りましょう。
この記事が、あなたのバイクライフをより安全で快適なものにするための一助となれば幸いです。
また全国60店舗以上で展開しているオートバイ用品専門店の2りんかんでは、国家整備士が法定点検を実施しています。バイクのパーツは日に日に劣化していきますので、目に見えない部分に危険が発生していないとも限りません。まずは一度点検を行うことをおすすめします。
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