バイクがオーバーヒートした際の直し方は?原因や対策方法も解説!
夏など気温が高くなりがちな日に注意しなければならないのが、バイクのオーバーヒートです。
エンジンが高温になっている状態を無視してバイクを走らせてしまうと、エンジンが壊れる危険性があるため、早急な対処をしなければなりませんが、どのようにすれば良いのでしょうか。
本記事では、バイクがオーバーヒートした場合の対処法について解説します。
結論として、エンジンを冷やすことが重要ですが、オーバーヒートしているエンジンに水を掛けてはいけません。
オーバーヒートの原因やオーバーヒートを起こさないためにできる対策方法についてもご紹介しますので、この記事を参考にもしもの場合に備えて、愛車のエンジントラブルに適切に対処できるようにしておきましょう。
バイクのオーバーヒートは、エンジンの発生熱量が冷却性能を上回った際に冷却水温度が設定温度を超えて沸騰したり、エンジンの温度が通常よりも高温になってしまったりする状態を指します。
猛暑でライダーが熱中症などの危険性があるように、バイクにも同様の症状が起こるのです。
バイクがオーバーヒートした場合、無視して走行し続けるとエンジンが壊れるなど重篤な症状を引き起こす恐れがあります。
バイクがオーバーヒートしたら、様々な症状が現れますが、水冷エンジンが空冷エンジンかによっても変わってきます。
水冷と空冷どちらもエンジンを冷やす役割を担っていますが、構造が全く違うので注意が必要です。
すぐに異変に気付くことができれば、早めの対応ができるので、自分のバイクが水冷か空冷かを確認するとともに、症状についてもチェックしておきましょう。
水冷は、冷却水を循環させて冷却する方式で、安定的な冷却効果が得られるのが特徴です。
水冷はオーバーヒートしにくい構造となっていますが、可能性はゼロではありません。
水冷エンジンの場合は、冷却水が熱くなると膨張し、ラジエター内のリザーブタンクの容量を超えてしまうと水漏れする恐れがあります。
また、冷却水が沸騰してラジエター内の圧力が上がり、キャップが吹き飛んで熱くなった冷却水と水蒸気が吹き出す危険性もあるので注意が必要です。
空冷は、走行風によってエンジンを直接冷やす方式ですが、放熱を良くするためにエンジンのシリンダー、ベッド部分にも多くのフィンが取り付けられています。
現在の主流は水冷で、国産メーカーの空冷モデルはほとんどなくなっています。
水冷の場合は水温計や水温警告灯で異常をライダーに知らせてくれますが、空冷の場合は目視で確認できないため、オーバーヒートに気付くのはフィーリングが頼りです。
空冷の場合はオーバーヒートすると以下のようにエンジンの調子が悪くなるため、不調を感じたら早めに対処しましょう。
バイクがオーバーヒートする原因は様々ですが、基本的にはエンジンから発する熱がエンジンを冷やす力よりも大きくなってしまうところにあり、具体的には以下の8点です。
冷却方式が水冷か空冷かによっても原因が変わってきますので、まずは愛車が水冷か空冷かを把握しておきましょう。
バイクがオーバーヒートする原因について、それぞれ詳しく説明していきます。
水冷にも空冷にも言えることですが、気温が高ければ、それに比例して熱がエンジンにこもりやすく冷めにくい状態になります。
そのため、バイクのエンジンに異常が生じ、オーバーヒートに繋がりやすくなります。
近年では気温が35℃以上の猛暑になる日も多く、冬場に比べて夏場の方が圧倒的にオーバーヒートしやすいため、エンジンに違和感を感じたら走行をやめた方が良いでしょう。
エンジンを冷やす役割を果たす冷却水(クーラント液)ですが、冷却水の量が不足していると正常に循環することができず、水温が上がってオーバーヒートする原因になります。
水温警告灯が点灯した場合、まずはリザーブタンク内の冷却水量を確認し、減っていたら規定の量になるように追加しましょう。
冷却水には膨張と収縮があり、エンジンが熱いうちにキャップを開けると、温められた冷却水が溢れてくる可能性があるため、量の確認は必ずエンジンが冷えている時に行ってください。
エンジンの熱を下げようとして冷却水の温度が上がってしまいますが、その熱水を冷やす装置がラジエターです。
そのラジエターのフィンが曲がっていたり、内部にゴミが詰まっていたりするなどして冷却機能が落ち、オーバーヒートする恐れがあります。
内部の汚れは綺麗に掃除すれば冷却能力が回復する可能性が高く、フィンはマイナスドライバーなどを使って曲がりを簡単に直すことが可能です。
ラジエターキャップは、ラジエター内の圧力を調整する役割を担っています。
水の沸点は100度ですが、ラジエター内を加圧して冷却水の沸点を上げ、冷却効率を上げているのです。
ラジエターキャップには1.1kPaや1.3kPaなどと書かれており、これが1.1kPaになると、水温110℃にできるということになります。
このラジエターキャップのゴムの部分が劣化すると密閉できなくなるため、圧力が下がって冷却水の沸点が下がり、オーバーヒートしてしまいます。
冷却水を循環させる役割を担っているウォーターポンプに不具合があると、冷却水が循環できずに水温が上昇して、オーバーヒートする可能性があります。
実際にウォーターポンプが故障することはほとんどありませんが、定期点検をする際にチェックしておくと安心です。
水温を調整する装置であり、冷却水の温度によって開閉するサーモスタットは、水温が上昇したときに開いて、ラジエター内部に冷却水が流れ込むようになっています。
しかし、サーモスタットが故障して閉じたままになっていると、水温が上昇しても冷却水を流し込めず、水温を下げられないため、オーバーヒートしてしまうのです。
そのため、水温が下がらないなどのトラブルが発生した場合はサーモスタットの不良を疑い、必要があれば新品に交換しましょう。
古いバイクや長年使われていなかったバイクに起こりやすいのですが、ラジエター内の冷却水を長い間交換しないままでいたり、ラジエターの洗浄を行わないでいたりするのもオーバーヒートの原因となります。
これらの理由でサビができる、冷却水経路に汚れが詰まるなどして冷却水の循環がうまくいかなくなるのです。
洗浄だけでサビや汚れが取り除けない場合は交換しなければならなくなるので注意しましょう。
冷却水やエンジンオイルは、エンジンを冷やす役割も担っています。
しかし、冷却水やエンジンオイルが経年劣化することで冷却機能が失われ、エンジンを十分に冷却できなくなってしまい、オーバーヒートを起こす可能性があるのです。
また、熱を吸収できなかったり、摩擦熱が発生しやすくなったりするため、定期的なオイル交換は欠かせません。
バイクがオーバーヒートしてしまったら、エンジンを冷やすことが大切ですが、急いで冷やそうとしてエンジンに水をかけるのはやめましょう。
急激な温度変化によってエンジンが破損してしまう恐れがあります。
ここでは、バイクがオーバーヒートしたときの応急処置や解決方法についてご紹介します。
バイクがオーバーヒートしてしまったら、まずは車通りの少ない路肩にバイクを停めてエンジンを切り、温度が下がるのを待ってください。
「急にエンジンを止めると局所的に熱が溜まるのでエンジンに良くない」と言われることもありますが、それは冷却系が正常な場合であり、そうでなければ水温が上昇し続けて危険なので、すぐにエンジンを止めて被害の拡大を防ぎましょう。
なるべく涼しい場所でバイクを停めるのが望ましいです。
水冷エンジンの場合、冷却水をラジエターで冷やして、それをエンジン全体に回して冷やす仕組みとなっています。
そのため、エンジンに直接水をかけるのはいけませんが、ラジエター本体を冷やすのは有効です。
もし水があればラジエターにかけて冷ますようにしましょう。
空怜エンジンの場合、基本的にはエンジンを冷ます以外に対策はありません。
空冷のエンジンを冷却するための装置といえば、エンジンに刻まれている冷却フィンのみになります。
そのため、安全で涼しい場所にバイクを停めて、うちわや扇風機などでエンジン本体に風を当てて冷却を促すのが応急措置としてできることです。
このときも、すぐに冷やそうとエンジンに水をかけるのはやめましょう。
エンジンが十分に冷えたら、ラジエターキャップを開けて、冷却水が規定量入っているかを確認しましょう。
もし、規定量入っていればエンジンを再始動して、様子を見ますが、入っていなければ冷却水を補充します。
手持ちの冷却水がなければ応急措置として水を代用できますが、その場合は早めにクーラントに交換する必要があります。
水を長期間ラジエター内に入れておくとサビの原因になるため、注意してください。
冷却水を補充したのに再びオーバーヒートする、ラジエターが破損している、などの場合は無理に動かそうとせずにバイクをレッカー輸送するのがおすすめです。
オーバーヒート症状が現れているにも関わらず走行させるとエンジンが壊れ急停車してしまう恐れがあります。
もしもの場合に備えて、ロードサービスに加入しておくのも良いでしょう。
冷却系がオーバーヒートの原因の場合、それを解決する必要があります。
具体的には以下の通りです。
自身で原因が特定できない場合はできるだけ早く救援を呼び、整備工場などでオーバーヒートの原因を調べるのがおすすめです。
先述した通り、エンジンオイルはエンジンを冷却する役割も担っているため、オイルの劣化がオーバーヒートの原因にもなり得ます。
さらに、オーバーヒートに晒されたバイクは急速に劣化してしまうため、できるだけ早くエンジンオイルの交換を行なってください。
また、オーバーヒートを未然に防ぐためにも定期的なオイル交換を行いましょう。
バイクのオーバーヒートは、以下のように少しの工夫で予防することが可能です。
オーバーヒートの原因が気温によるものではなく整備不良の可能性も高いため、定期的な点検や冷却装置に問題がないかチェックを怠らないようにしましょう。
バイクのオーバーヒートは、気温が高くなりがちな夏に起こりやすく、走行中に突然オーバーヒートを起こしてしまうと慌ててしまいがちです。
しかし、あらかじめ原因や対処法を把握しておけば、万が一のときでも慌てず落ち着いて適切な対応ができるでしょう。
また、前兆に早めに気付いて対処することや日常的な点検でエンジン周りの不具合を見つけ、対策をとっておけば、オーバーヒートを未然に防ぐことができますし、オーバーヒートしてしまった場合でも、エンジンが壊れるほど悪くならずに済みます。
ぜひこの記事を参考に、日頃から心がけてバイクライフを楽しんでください。
エンジンの不具合や、走行中の違和感を感じた方は、まず来店し、違和感の原因を確認すると良いと思います。
オートバイ用品専門店の2りんかんでは、国家整備士が法定点検も行っていますので、ぜひご気軽に来店ください。