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キャブのオーバーフローの原因とは|6つの原因箇所と解決方法

根強い人気を持つキャブレターバイクですが、よくあるトラブルに「オーバーフロー」があります。

「火花が飛ばない、かぶる」

「走行中にガソリンが漏れてきた」

「しばらく放置していたバイクからガソリンが漏れる」

このような症状は、キャブレターのオーバーフローが原因かもしれません。

今回は、キャブレターのオーバーフローについて以下の流れで解説していきます。

初心者の方にも分かりやすいように解説しますので、最後までご一読いただけたら幸いです。

キャブレターのオーバーフローとは

キャブレター(※1)からガソリンが漏れることを「オーバーフロー」と呼びます。

※1:キャブレターとはガソリンを噴霧化してエンジンに送り込む装置であり、キャブ内にはフロートチャンバーというガソリンを溜める部屋がある。

フロートチャンバーの内部構造は、チャンバー内に一定量のガソリンが注がれると浮力で動く開閉弁が閉じて流入を止める仕組みとなっています。

そのフロートチャンバー内の油面が何らかの原因で高くなりすぎると、キャブレターからガソリンが溢れ出るようになります。

オーバーフローの症状

オーバーフローが起こると、通常はキャブレターの外側にガソリンが漏れてきます。

走行中に漏れ出すこともありますし、駐車中の車体下に漏れあとがあって発見する場合もあるでしょう。

軽度であればすぐに走行に影響はしないと考えられますが、チョロチョロと漏れていくので燃費は悪くなります。

重症になってしまうと、アイドリングすらしないという状態になるでしょう。

また、オーバーフローパイプを持っていないキャブレターも存在し、その場合は規定の油面を超えたガソリンはベンチュリー内やシリンダーに流れるタイプもありますので注意が必要です。

内部に流出した場合が厄介で、最悪エンジンに致命的なダメージを与えることもあります。

バイクの種類によっては、初動に違和感を感じたら軽視せず、オーバーフローを疑うようにすると良いかもしれません。

オーバーフローの原因箇所

オーバーフローの原因は主に、部品の「汚れ」か「劣化」の二択です。

ここでは、オーバーフローが起こりやすい原因箇所について触れていきます。

よくある原因箇所は主に以下の6つです。

「オーバーフローが治らない」という方もぜひ各箇所に見落としがないかを確認してみてください。

それぞれ詳しく解説していきます。

燃料コックの場合

ガソリンタンクからキャブレターに燃料を送る通路の開閉レバーを指します。

燃料コックのパッキンが劣化すると、ガソリン漏れの原因となります。

負圧式燃料コックの場合、コックの位置がPRI(プライマリー)になっていないか確認してください。この位置に有ると常時燃料が流れます。

フロートの場合

フロートとは、フロートチャンバー内のガソリンを一定量に保つ役割を持っています。

このフロートが何らかの原因で破損したり劣化すると、フロートチャンバーからガソリンが溢れ出てしまいます。

フロートバルブの場合

フロートによって開閉するフロートバルブが劣化したり、何らかの原因で詰まるとうまく閉じられなくなります。

その結果、ガソリンが止めどなく流れてしまうためオーバーフローが起きてしまいます。

フロートバルブが詰まるのは、古いガソリンや混入した異物によることが大半です。

フロートパイプの場合

フロートチャンバー底部に圧入されているパイプを指します。

経年劣化によって亀裂が入ることがあり、それが原因でチャンパー内のガソリンが漏れ出すことがあります。

特に接合部分に亀裂が入った場合、亀裂自体が極めて細く見落としがちのため、フロートバルブの不調と見誤ることがあるため注意が必要な箇所です。

油面の高さの場合

フロート内に溜めるガソリン量の基準を指します。

量が多すぎるとオーバーフローの原因となりますし、少なすぎても燃調が悪くなってしまいます。油面は調整することができるので、オーバーフローしている場合は油面調節を行ってみると解決するかもしれません。

調整方法については後述の「対処方法」にて解説します。

オーバーフロー箇所の確認方法

では、前述した原因箇所を突き止めるための方法について解説していきます。

大前提としてオーバーフロー箇所を自分で確認する場合、分解が必要となってきますので自己責任での作業となります。

基本的にはバイクショップに持ち込むことを推奨しますが、ご自身で確認したい方は以下の方法を参考にしてみてください。

燃料コック

燃料コックをオフにした上で燃料ホースを外し、ガソリンが漏れているかを確認します。

もしここで漏れているようであれば、燃料コックのパッキンの劣化が考えられます。

フロート

まずガソリンの流れを遮断した上でキャブを取り外します。

キャブ内からフロートを取り外し、ガソリンが入った容器などにフロート自体が浮くかどうかで劣化や破損を判断していきます。

浮きが悪いなと感じる場合は、フロートを沈めて気泡が発生しないか確認してください。また、耳元でふって音がしない事を確認してください。

洗浄方法については後述の「解決方法」にて詳しく触れていきます。

フロートバルブ

フロートバルブを確認するためには、まずフロートを支えるフロートピンを抜く必要があります。

フロートピンを外したのち、フロートバルブとボディ側のバルブシートにサビなどの異物がないか確認してください。

異物がないようであれば、フロートバルブ先端のニードル部分を確認します。

ニードルは金属製とゴム製がありますが、どちらにしても経年劣化で擦れ傷などが付いていれば密閉不良の原因になっている可能性があります。

ちなみに、フロートピンは単純な貫通タイプや圧入タイプなどいくつか種類がありますが、圧入タイプの取り外しには注意が必要ですので解説しておきます。

【圧力タイプのフロートピンの外し方】

圧力タイプはドライバーなどで押した程度ではビクともしないため、ピンと同じ太さのピンポンチで押しぬく必要があります。

押しぬく際にハンマーを使っても構いませんが、大きな力をかけてしまうとピンが折れて取り返しのつかないことになってしまう可能性もありますので、慎重に行ってください。

フロートパイプ

フロートパイプの異常の場合、接合部分の細い亀裂が原因であることも多いため、初動ではなかなか判断が難しいかもしれません。

亀裂が目視で確認しにくいため、フロートバルブの異常と認識され、フロートバルブ交換後も変化がないことでフロートパイプ亀裂の可能性がでてくることが多いようです。

正確に確認するためには、水を張ったフロートチャンバーを逆さに入れ、気泡が上がらないかを確認するとよいでしょう。

油面

油面の設定が高くなりすぎている場合、オーバーフローが起きる可能性があるため、油面の高さを確認します。

フロートチャンバーに付いているドレンホースを外し、20cm程の長さの透明の耐油ホースを取り付けて、ホースの口を上に向けてフロートチャンバーの横へ垂直に立てます。

その状態で燃料コックをオンにするとホースにガソリンが流れ込み、ホース内のガソリンの高さを計測することで実油面を図ることができます。

油面が規定よりも高くなってしまっている場合、油面の調節が必要です。

オーバーフロー解決方法

ここからは、オーバーフローが起きてしまった際の対処方法を紹介します。

対処方法は主に以下の方法があります。

細かい手順を踏まえ、詳しくみていきましょう。

フロートバルブの清掃、点検、交換

キャブのフロートチンバーを外し、フロートピンを抜き、フロートとフロートバルブを取り外します。
綿棒を使い、バルブシートを清掃してください。バルブのゴム部分の清掃、点検を行い、異物の付着、段付きが無いか確認してください。ゴム部分の反対側に小さな突起が付いています。突起が上下にスムーズに動くか確認してください。固着している場合は、キャブクリーナーに漬け込んで様子を見てください。清掃点検が完了したら組み付けてください。

フロートの点検

フロートバルブと一緒に外す部品なので外した際に点検を行ってください。まず、目視でヒビや穴が空いていないか確認し、耳元でフロートを振って音がしないか確認してください。怪しい場合は、フロートが入る容器にガソリンを入れフロートを沈めてください。気泡が出る場合は、交換が必要です。

油面の調整

油面が適切でない場合のオーバーフローでは、油面を調整することで改善が見込めます。

油面の高さはフロートの高さによって決まりますので、フロートの高さを調整するためにフロートピンの曲がる角度を調節しましょう。

この角度を変えることでフロートの高さが変わり、油面の高さを調整することができます。

この際、油面の高さはマニュアルに記載されている高さに合わせるようにしてください。

オーバーホール

故障の原因の大半が汚れと劣化といっても過言ではありません。

基本的にオーバーフローが起きた際には、キャブレターを全て分解し洗浄、劣化した部品は交換(=オーバーホール)する必要があります。

以下、洗浄方法をご紹介します。

自己洗浄手順

【用意するもの】

【ジェット類の洗浄】

キャブレター内のフロートを外したら、ジェット類も外していきます。

この時、メインジェットはマイナスドライバーで外すこともできますが、スロージェットは専用ドライバーが必要ですので注意してください。

  1. ジェット類の穴にキャブレタークリーナーを吹き付け、貫通具合を確認
  2. 容器にキャブクリーナーを溜め、ジェット類を漬け置き
  3. 漬け置き後、ニードルでジェットの詰まりを除去
  4. パーツクリーナーで貫通具合を確認、エアブローを行う

【キャブレターの洗浄】

  1. 各通路にキャブレタークリーナーを吹き付け、貫通具合を確認
  2. キャブレタークリーナーでこびり付いたガソリンを除去(細かい部分は歯ブラシを使用)
  3. パーツクリーナーで清掃、エアブローを行う

【フロートバルブの洗浄】

  1. ジェット類の洗浄で使用したキャブクリーナーで漬け置き
  2. 漬け置き後、歯ブラシで細かい部分を清掃

洗浄時に各パーツの劣化具合を確認し、必要によってはパッキンなどの交換となります。

問題なければ部品を戻し、終了です。

オーバーフローが起こらないか、エンジンなどに問題がないか確認をしてください。

バイクショップでの修理代

バイクショップにオーバーホールを依頼した場合の修理代はどの程度なのでしょうか。

車種や種別、状態により金額は異なりますが一般的には以下のような金額が目安といわれています。

種別 金額
シングル(単気筒) 15,000円~
ツイン(2気筒) 20,000円~
トリプル(3気筒) 25,000円~
マルチ(4気筒) 30,000円~

オーバーホールはご自身でもできる作業といわれることもありますが、キャブレターには多くの部品が使われており、分解は難易度が高い作業です。

元に戻らなくなってしまったり、他の異常が出てしまう可能性もありますので、自信がない場合はバイクショップに依頼することをおすすめします。

もちろん金額は店舗により異なりますので、お近くのバイクショップに一度見積もりなど相談してみると良いかもしれません。

キャブレターのオーバーフローの原因は汚れと劣化

今回は、キャブレターのオーバーフローの原因と解決方法について解説しました。

キャブレター車の場合、オーバーフローは比較的メジャーなトラブルですが、自己解決の難易度も高いトラブルです。

バイクショップに依頼する場合は、車種や状態により金額が異なりますので、あらかじめ見積もりなどを相談するとよいでしょう。

また、バイクショップによってはオーバーホールに対応していないところもありますので、事前に確認するようにしてください。

オーバーフローの対処は『2りんかん』がおすすめ

『2りんかん』は、全国で63店舗(2025年1月時点)を展開しているバイクショップで、購入元に関わらずどこで買ったバイクでも作業依頼が可能です。

もちろんオーバーホールにも対応しており、料金の目安は以下になります。(2025年1月時点)

引用:2りんかん公式サイト

ご自身でのオーバーホールが不安という方は、お近くの『2りんかん』店舗に見積もりなど相談してみてはいかがでしょうか。

店舗情報はこちら⇒2りんかん公式サイト

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