冬にバイクのエンジンがかからない原因と対処法とは?事前にできる対策も解説
冬の寒い日にバイクのエンジンがかからなくなるトラブルは非常に多いです。
冬のバイク走行で急にエンジンがかからなくなってしまったら慌ててしまいがちですが、どのように対処したら良いのでしょうか。
本記事では、寒い日にバイクのエンジンがかかりにくくなる原因と対処法について解説します。
結論として、気温が低くなると様々なものが変化するため、それが要因となってエンジン始動が難しくなるのです。
冬場もバイクを走らせたい、または冬場は冬眠させるからエンジンの状態が不安、という方は、起こりがちなトラブルであるからこそ、ぜひこの記事を参考にあらかじめ対策をとってエンジントラブルを防ぎましょう。
まず、冬などの寒い時期になぜエンジンがかからなくなるのかを把握しておきましょう。
冬などの寒い時期にバイクのエンジンがかからなくなる主な原因はこちらです。
それぞれ詳しく説明していきます。
バイクのエンジンは、ガソリンと空気を混ぜて混合気を作り、最適な比率で燃焼させますが、この比率が悪いとうまく燃焼せず、エンジンがかかりにくくなってしまいます。
キャブレター車の場合、冬のような寒い時期は空気の密度が高くなりがちですが、キャブレターから吸い込む空気の量は一定であるため、混合気の酸素濃度が上がってしまうのです。
そうすると、酸素の量に対するガソリンの量が不足し、エンジンがかかりにくくなってしまいます。
バッテリーは化学反応によって電気を放電しますが、寒さに弱い傾向があるため、反応が弱くなってしまいます。
そのため、冬は気温が低くなればなるほどエンジンの始動が難しくなるのです。
また、バッテリーは使っていなくても自然放電するため、バイクに乗る頻度が減る冬場は、久しぶりに乗ったときなどにバッテリーの電圧が弱くなっている可能性もあります。
バイクのエンジンオイルは、気温によって粘度が変化します。
冬など気温が低くなると、オイルは粘度が上がり固くなってしまうため、エンジンがかかりづらくなっている可能性が高いです。
ただし、日本の場合はよほど寒い場所でない限りはエンジンオイルの粘度にそこまで影響は出ないため、他の原因も疑った方が良いでしょう。
では、寒い日に突然エンジンがかからなくなってしまったら、どのようにすれば良いのでしょうか。
ここでは、寒い日にエンジンがかからないときの対処法を説明していきます。
バイクのエンジントラブルで最も多いのがバッテリー上がりです。
バッテリー上がりは、バッテリー内に蓄えられている電気量が一定の量を下回ることを指し、原因は様々ですが、冬などの寒い時期に多いのは、気温が低くなり放電が多くなってしまっていることにあるため、バッテリーが弱っている場合は充電器で充電しましょう。
また、バイクのバッテリーは使い始めた瞬間から劣化が進むため、バッテリーの寿命が近づいているのかもしれません。
そのため、充電してもバッテリー上がりを繰り返すようであれば新品への交換を検討してください。
キャブレター車の場合は、チョークを引いて燃料を濃くするとエンジンがかかる可能性があります。
チョークは、気温が低いときや、長期間エンジンをかけていなかったときなど、燃料が薄くなり、エンジンの始動が困難な場合に使用するもので、インジェクションの場合は電子制御で適切な燃料を調整してくれるのでチョークはありません。
チョークを引いてエンジンがかかったら、暖気をしながら徐々にチョークを戻しましょう。
【チョークの正しい引き方】
冬は粘度を柔らかいものに変えるとエンジンの指導性が上がるとも言われているため、夏に比べて粘度の柔らかいオイルを選ぶと良いでしょう。
ただし、極端に粘度の低いオイルを選んでしまうと、オイルの油膜や密封性が弱まり、エンジンを傷めてしまう可能性があるため、適切な粘度を見極める必要があります。
ガソリンは時間の経過により劣化し、詰まりを起こしてエンジンがかからなくなるケースがあります。
気温差によりタンク内で結露が発生し、ガソリンタンク底部に水が溜まり、キャブレターや燃料ポンプに入り込みエンジンがかからなくなることもあります。また、ガソリンは空気に触れると酸化していくので、冬にバイクに乗らないからとタンクのガソリンが少ない状態で保管すると、満タンで保管するよりも早く劣化し、タンク内に水が発生することがあります。
タンク内を確認し、サビが発生している場合は注意してください。
また、燃料の劣化による着火不良も考えられるので、タンクの古いガソリンを全て抜き、新しいガソリンを入れてエンジンがかかるか試してみてください。
上記を試してもエンジンがかからない、またはかかりづらいのであれば、バイクショップへ持って行き、点検や修理を依頼するのがおすすめです。
季節的な問題だけでなく、経年劣化や汚れなどが問題である可能性もあります。
ある程度の技術が必要な作業の場合、自分で直そうとしてかえってバイクを壊してしまう危険性もあるので、その場合はプロに任せましょう。
【エンジンがかからない主な原因】
寒いときにエンジンがかかりにくい場合、「キャブレターにお湯をかけて温めると良い」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。
確かに即効性が期待でき、エンジンが掛かることもあるため有効な手段として実践しているライダーの方もいるでしょうが、熱湯をバイクにかけるとゴム製のパーツが劣化する可能性があるので注意が必要です。
冬にエンジンが止まってしまう主な原因や対策方法をお話ししましたが、普段からバイクの取り扱いに注意しておけば、防げるトラブルもたくさんあります。
ここでは、寒い日のエンジントラブルを防ぐための対策方法についてご紹介しますので、問題が起こる前に対策をとっておきましょう。
保管場所はバイクのコンディションを保ったり、寿命を伸ばしたりするために大切な要素です。
バイクは車と違って、エンジンやマフラーなどの主要パーツがむき出しになっているため、外にバイクを置いていると自然環境の様々な影響を受け、劣化が進んでしまいます。
特に気温が低下し、雪が降る冬は油断できません。
そのため、自宅にガレージなど屋内に保管できるスペースがあるのなら、そこに保管しましょう。
自宅にそのような場所がない場合は、トランクルームやバイクショップの保管サービスを利用するのもおすすめです。
冬季保管する場合、車体からバッテリーを本体ごと外して室内保管すると、バッテリーを長持ちさせることに繋がります。
また、定期的にバッテリーを充電器で補充電し、バッテリーが完全に放電して性能が低下するのを防ぐことをおすすめします。
なお、バッテリーの寿命は2〜3年程度と言われているため、3年以上経ったバッテリーをお持ちの方は新品への交換も検討しましょう。
ガレージなど室内で保管できるのであれば、時々エンジンをかけるのが望ましいです。
冬場に時々エンジンを暖めてオイルを循環させると、以下の効果が期待できます。
ただし、中途半端な暖気程度ではエンジン内に結露が発生する可能性があるので、注意してください。
特に、積雪の多い北海道や東北地方、北陸地方などでは、冬の期間はバイクを走らせることができないため、数ヶ月バイクを使用せず保管しなければなりません。
長期間バイクを保管するのを「バイク冬眠」ともいいますが、冬眠前にやっておくと良いことや冬眠中にバイクのエンジンを長持ちさせる方法を説明していきます。
バイクを冬季保管する場合、簡易的に点検やメンテナンスをしておくと春先のエンジン始動もスムーズになります。
保管前に汚れや水分を取り除くだけでも、保管後のバイクの状態は大きく変わってくるはずです。
点検により何らかの異常が見つかったら、自分で修理して改善するか、バイクショップに依頼して直してもらいましょう。
寒い時期は、外気とガソリンタンク内の温度差が大きくなりがちで、タンク内のガソリンが少ないと結露が生じる可能性があります。
それによってタンク内が錆びついてしまう恐れがあり、ガソリンと混ざったときにエンジントラブルの原因となるのです。
そのため、バイクを長期間使用しない場合はガソリンを満タンにしておくようにしましょう。
愛車を冬の間、最適な状態で保管するためには、必要なアイテムを揃えることが重要です。
バイクを長期間保管する際に役立つアイテムは以下の通りです。
それぞれ詳しく説明していきます。
バイクは室内で保管するのがベストですが、やむを得ず屋外に保管しなければならない場合、防水性の高いバイクカバーを用意して、雨や風、雪、外気温などからバイクを守りましょう。
バイクカバーは他にも、紫外線などの自然環境対策として、さらに盗難やいたずら防止にも役立ちます。
ただし、バイクカバーをかけっぱなしにしていると、湿気がこもる可能性があるので、天気の良い日にはカバーを外して陰干しするのがおすすめです。
また、雪が多い地域では結露の心配もあるため、湿気を吸収できる毛布をかぶせてからバイクカバーをかけると良いでしょう。
屋内やガレージでバイクを保管すると、バイクの防水、紫外線、盗難対策ができるというメリットがありますが、自分自身で湿気対策を行う必要があります。
バイクを室内保管する際は、除湿効果が期待できる炭や除湿剤を置くのがおすすめです。
また、除湿器や換気扇を付けると風通しが良くなり、カビの発生を予防できます。
長期間バイクに乗らない場合、ガソリンが劣化したりタンク内が錆びついたりしてしまう恐れがあります。
燃料添加剤は酸化防止や防腐剤としての役割があるため、ガソリンの劣化を防ぎ、タンク内の錆を防止してくれます。
燃料添加剤には、PEA(ポリエーテルアミン)やIVD(インテークバルブデポジット)などの物質が含まれており、ガソリンの酸化や腐食防止に効果的です。
これを使うことで、保管中に起こりやすいエンジントラブルを予防できるほか、バイクに乗る際のエンジンの始動性も良くなるでしょう。
バイクを長期間動かさないでいると、タイヤの一部分にだけ負荷がかかっている状態になります。
その結果、タイヤが変形してしまう恐れがあります。
これを防ぐためにメンテナンススタンドを使用してバイクを浮かせて保管すると良いでしょう。
メンテナンススタンドを使用しない場合は、タイヤの接地面が同じにならないように定期的に位置を変えるのがおすすめです。
バイクは気温が低くなる冬に、主に以下の原因でエンジンがかかりにくくなります。
エンジンやバッテリーなどは寒さに弱いため、あらかじめ対策をとっておくと、エンジントラブルが起こるリスクを軽減できるでしょう。
突然エンジンがかからなくなると、焦って適切な判断ができなくなる場合もあるので、ぜひこの記事を参考に、寒い日にエンジンがかからなくなる原因や対処法、事前にできる対策を把握し、実践してみてください。
エンジンの不具合や、走行中の違和感を感じた方は、まず一度来店し、違和感の原因を確認すると良いと思います。
2りんかんでは、国家整備士が法定点検も行っていますので、ぜひご気軽に来店ください。