バイクのフルレストアすると費用はどうなる?オーバーホールとの違いやメリット・デメリットを解説
年式の古いバイクが好きな人なら「レストア」をご存知の方が多いかと思います。
バイクの動かない原因を根本的に解決し乗れるようにする手段で、特に、機械類や内外装全て元通りにするフルレストアはバイクのメンテナンスや購入を検討する方にも注目されているのです。
では、実際に旧車をフルレストアしたいと思ったとき、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
本記事では、バイクをフルレストアする費用や安くする方法について解説します。
バイクのフルレストアにはメリットやデメリットもあるので、それも併せてご覧いただき、旧車をフルレストアするのか、それとも他の方法でバイクを手に入れるのか検討していただけたら幸いです。
レストア(restore)は、英語で「元通りにする」という意味があり、バイクにおいては、古いバイクのパーツを交換したり修理したりして、新車のように復活させることを指します。
レストアは新車や現行モデルのバイクに使うものではありません。
旧車や生産終了したバイクなど、年式が古く動かなくなってしまったバイクに対して行われ、パーツのサビや劣化、固着、破損部分など不動の部分を根本的に解決し、綺麗に仕上げてしっかり走れるようにします。
レストアされたバイクは、新車同様の輝きを取り戻し、その走行性能も向上します。これにより、オーナーは再びそのバイクに乗る喜びを味わうことができ、新しい世代にもその魅力を伝えることができます。また、レストアは環境保護の観点からも意義があります。新しいバイクを製造するよりも、既存のバイクを修理・再利用することで、資源の節約と廃棄物の削減に貢献します。
さらに、レストアは単なる修理を超えた文化的な側面も持っています。旧車の持つ歴史やデザインを次世代に引き継ぐことで、バイク文化の継承に寄与します。このように、レストアはバイク愛好者にとって、技術的な挑戦であると同時に、愛車への深い愛情と敬意を示す重要な行為です。
フルレストアは、その名のとおり古いバイクを丸ごと元通りにするという意味です。
エンジンやトランスミッションの交換、板金塗装などを施し、古くなったものを新車のような状態に仕上げます。
かなり年数が経ったバイクであってもフルレストアが可能ですが、その分時間と費用がかかるでしょう。
一般的に、車体全体に手を加えるのを「フルレストア」、事故や故障で機能しなくなった一部分のみを修復するときは「セミレストア」と呼ばれます。
フルレストアと混同されやすい言葉に「オーバーホール」がありますが、古いものを新品同様に復元させるという意味では同じです。
しかし、オーバーホールはトランスミッション、サスペンション、キャブレターなど、主要な構成部品の機能を回復させるのに対し、フルレストアは内外装も含めて丸ごと修理するという違いがあります。
つまり、フルレストアは見た目もバイクの機能も回復できる分、オーバーホールよりも修理範囲が広くなるのです。
フルレストアしたいけれど、どこで旧車や不動車を手に入れたらよいか分からない方も多いでしょう。
中古バイクであれば、中古車の取り扱いがあるバイクショップやネットで手に入りますし、不動車であってもオークションサイトやフリマアプリなどで多数販売されています。
また、解体業車や放置不動車があるお宅に直接交渉して譲ってもらうことも可能です。
不動車の場合は、格安で手に入る可能性もあるため、探してみましょう。
レストアに必要なパーツは、専用のショップやネット通販、またはバイクの専門店で探すことができます。
特に旧車の場合、純正パーツが手に入りにくいことがありますが、リプロダクションパーツや互換性のあるパーツを利用することで対応できます。
さらに、バイクのコミュニティやクラブに参加することで、情報交換やパーツの譲り合いができることもあります。
こうしたコミュニケーションを通じて、レストアの過程を楽しむことができ、同じ趣味を持つ仲間との繋がりを深めることができます。
レストアは、単なるバイクの修理を超えた情熱と時間を注ぐプロジェクトです。自分の手で愛車を蘇らせる喜びは、何物にも代えがたいものです。
バイクをレストアする方法は、基本的に以下2つです。
それぞれの特徴を説明しますので、自分に相応しいと思う方法でレストアしましょう。
レストアの専門的な知識がない方は、レストアを取り扱うバイクショップやレストア専門のショップに依頼するのがおすすめです。
まずはショップに問い合わせをして、依頼したい車種のバイクのレストアに対応できるか確認し、バイクの状態を見てもらったうえで見積もりを出してもらい、金額に納得がいったらレストアを依頼しましょう。
費用にはパーツ代や塗料代のほか、作業代や人件費もかかる点を押さえておいてください。
パーツや塗料を取り寄せるのに費用がかかり、見積もりよりも高額になる可能性もあります。
知識やノウハウがあれば、DIYでバイクのレストアを行うことも可能です。
ショップのような工具がない場合は揃える必要がありますが、バイクのレストアに使う基本的な工具は以下の通りです。
また、バイクの種類によっては以下の特殊工具が必要になるケースもあります。
作業を始める前に、レストアする車種に必要なパーツや工具などを調べ、必要なものを揃えておきましょう。
自分で行うのが難しいと感じた際は無理をせず、ショップに依頼するのがおすすめです。
バイクのフルレストアをしようと考えている人で、最も気になるのは費用面ではないでしょうか。
バイクのフルレストアは、車種や交換するパーツ、どの範囲まで行うかによっても価格が大きく変わり、一概には言えません。
しかし、フルレストアをして旧車を新車のように甦らせるのにかかる費用は30〜100万円程度と幅広く、100万円以上かかるケースも珍しくないのです。
現在国内で販売されている250ccバイクの平均的な相場は、新車で約50〜70万円程度であるため、後述しますがレストアは、新車を購入するよりも費用が高くなる可能性があると覚えておかなければなりません。
少しでもフルレストアの費用を抑えたいという方は、レストア費用が安いショップを探したり、フルレストアではなく必要なところのみを部分的にレストアしたりするなどの対策が可能です。
また、バイクの知識が豊富な方は、自分で行える部分をDIYする方法もあるでしょう。
しかし、コストをカットしすぎたり、自分でレストアを行ったりすると、納得のいく仕上がりにならない可能性もあるため、どこまで許容すべきか熟考する必要があります。
【レストアのコスト削減方法】
バイクをフルレストアする主なメリットは以下4つです。
特に、旧車が好きな方やバイクのコレクターにとっては大きな利点となります。
詳しく見ていきましょう。
フルレストアの大きなメリットは、生産が終了した古いバイクや動かなくなったバイクに乗れるという点です。
生産終了した車種は、中古での取り扱いがどんどん少なくなり、増えることはありません。
ですが、フルレストアによって人気があるのに乗れなくなったバイクを新品のような状態に回復させ、再び乗ることができるのです。
昔憧れていたバイクに乗るのはライダーのロマンでもあるでしょう。
さらに、フルレストアは単にバイクを復活させるだけでなく、オーナー自身がバイクの歴史やメカニズムを深く理解する機会を提供します。
このプロセスを通じて得られる知識とスキルは、他のバイクのメンテナンスや修理にも役立つでしょう。
年式が古いバイクならではのデザインや、最新のバイクにはないパーツを楽しめる点もメリットです。
現行のバイクは最新技術が搭載されているため、走行性能や安全性能が優れており、ツーリングを楽しめるのはもちろん、扱いやすく日常使いにも適していますが、旧車には旧車の良さがあります。
旧車と呼ばれるバイクの多くは、1970年~1990年代のバイク全盛期に登場したもので、国内でも各メーカーの競争が激しく、個性的なバイクが多数作られているのです。
旧車をレストアすれば、現行モデルにはないデザインやエンジンのダイナミックさを楽しめるでしょう。
フルレストアは、昔乗っていた愛着のあるバイクに再び乗れるメリットもあります。
中の部品はもちろん、内外装も元の状態にするため、古いバイクを購入した当初の姿に戻してくれるのです。
そのため、「思い出が詰まっているバイクを復活させて再び乗りたい」「愛車を一生乗り続けるためにリフレッシュさせたい」いう方に、フルレストアはおすすめです。
生産終了したバイクの中には、ファンの間では需要が高く、いまだ人気のものもあります。
名車と呼ばれるバイクにはプレミア価格が付いて、高額で取引される場合もあるのです。
レストアにはコストがかかりますが、廃車に近い旧車を格安で手に入れ、フルレストアして高値で売ることができれば、フルレストアした費用を回収するだけでなく、大きな利益を生むこともあるでしょう。
バイクをフルレストアするのは多くのメリットがある一方、以下のデメリットもあります。
場合によっては、古いバイクをフルレストアするよりも、状態の良い中古車を購入する方が良い場合もありますので、よく確認したうえでフルレストアを検討しましょう。
バイクをフルレストアするには豊富な知識と経験が必要です。
作業がうまくいかなければ、正常に走れなかったり、エンジンが止まったりするなど、トラブルを起こしかねません。
そのため、DIYでレストアしようと考えている方は、自分では無理だと判断した場合や専門的な知識が必要だと感じたら、フルレストア可能な専門のショップに依頼してください。
また、失敗を防ぐためにも、レストアの実績豊富なショップを選定しましょう。
レストアには様々な工程を経て旧車を新車のような状態に戻しますが、中でも最終段階の塗装は、特に専門的な処置が必要な工程となります。
具体的には以下の通りです。
元の塗装を剥いで鉄板が空気に触れてしまうと、新品と比べてどうしても質や耐久性が劣ってしまうのです。
また、これらの工程が疎かになったり、失敗したりしてしまうと、綺麗に発色しない、塗装が剥がれる、サビが発生するなどの不具合が生じ、耐久性が落ちる恐れがあります。
本来のバイクに対して、フルレストアしたものは綺麗すぎる場合があり、旧車の良さが失われてしまうデメリットがあります。
昔の塗装は、現在では使われなくなった塗料を使っている場合も多く、耐久性を考慮して最新の塗料をレストアに使うこともあるでしょう。
その結果、旧車特有の味わいや風合いがなくなってしまう可能性があるのです。
年式が古いバイクはフルレストアに必要なパーツを調達するのに時間がかかるケースが多いです。
メーカーの純正パーツが市場に出回っていない可能性も高く、その場合、他車のパーツを探したり新たに制作したりすることもあります。
他にもサビをとる、金属を磨くなどにも時間を要するため、終わるまでに数ヶ月、場合によっては数年かかる可能性もあるので、ある程度時間がかかると理解したうえでフルレストアを依頼しなければなりません。
バイクのフルレストアは、時間だけでなく費用も高くなる点も理解しておきましょう。
バイクの車種や状態、交換するパーツの種類などによっては新車を買うよりも高くなる可能性もあるのです。
そのため、場合によってはレストアするよりも良い状態の旧車を購入したり、ショップでレストア済みのバイクを購入した方が、費用を抑えて旧車に乗ることができるかもしれません。
バイクのフルレストアは時間やコストがかかるため、あまりメリットに感じない方も多いでしょう。
しかし、旧車が好きな方や絶版車に乗りたい方、乗れなくなった愛着のあるバイクで再びツーリングしたい方にとっては、非常に魅力的です。
ボロボロになって動かなくなったバイクを復活させるのは、人によっては新車を購入するよりも価値があるものです。
フルレストアの費用は、状態や交換するパーツ、車種、目的によっても大きく変わるので、フルレストアを希望する方は、予算の上限をある程度決めたうえで見積もり依頼をすると良いでしょう。
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バイクのパーツは日に日に劣化していきますので、目に見えない部分に危険が発生していないとも限りません。
まずは一度点検を行うことをおすすめします。