立ち乗りでオフロードバイクを乗りこなす|スタンディングのコツと練習法
険しい山道や岩場を走破するオフロードバイクの醍醐味を味わうには、立ち乗り(スタンディング)が必須のテクニックとなります。
しかし、下記のような不安を抱えている初心者ライダーは多いです。
この記事では、初心者から習得できる立ち乗りのコツを丁寧に解説します。
スタンディングの正しい姿勢、スムーズな加速と減速、悪路でのバランスの取り方などの実践的なテクニックに加え、よくある疑問を解消するQ&Aも用意しました。
立ち乗りをマスターするとオフロード走行が劇的に楽になり、今まで以上にバイクの楽しさが広がります。ぜひこの記事を参考に、スタンディングに挑戦してみてください。
オフロード走行を楽しむ上で、バイクの立ち乗り(スタンディング)は欠かせないテクニックです。ここでは、スタンディングについて以下の3つのポイントを中心に解説していきます。
スタンディングは、上級者向けのテクニックのように思えるかもしれません。しかし、実際は初心者こそ積極的に習得すべきスキルです。
足をステップに乗せて立ち上がることでバイクのコントロール性を高め、路面からの衝撃を吸収し、視界を確保するなど、多くの利点があります。凸凹の多い道や不安定な路面でバイクをコントロールするために、オフロード初心者にとって特に重要な技術なのです。
オフロードバイクは、舗装されていない凸凹道や山道を走行するために設計されています。そのため、サスペンションのストロークが長く、車高が高いのが特徴です。しかし、これらの特徴は、シートに座ったまま走行すると路面からの衝撃を受けやすく、バランスを崩しやすくなってしまうというデメリットにもつながります。
そこで重要になってくるのが「立ち乗り」、すなわちスタンディングです。スタンディングは、ライダーの体全体をサスペンションのように使うことで衝撃を吸収し、バイクのバランスを安定させる効果があります。オフロード走行において、スタンディングは安全かつ快適に走行するための必須スキルと言えるでしょう。
スタンディングは、さまざまなシチュエーションで効果を発揮します。以下のような場面では、特にスタンディングが重要になります。
林道や砂利道などの凸凹が激しい路面では、シートに座ったままだとお尻や腰に大きな衝撃が伝わってきます。これは、長距離走行になると疲労の原因となり、集中力も低下させてしまいます。スタンディングをすることで、膝や足首の関節をクッションのように使い、衝撃を効果的に吸収することができます。
長距離走行では、立ち乗りが疲労軽減に役立ちます。同じ乗車姿勢を続けると体の特定の部位に負担が集中しますが、立ち乗りを取り入れることで疲れを分散させる効果があるのです。広い視野を確保することで目の疲れを軽減し、周囲の景色を楽しむこともできます。
オフロード走行では、草木が生い茂っていたり、急なカーブがあったりと、視界が遮られる場面が少なくありません。スタンディングをすることで目線が高くなり、より遠くまで見渡せるようになるため、障害物を早期に発見しやすくなるでしょう。
オフロード走行では、岩や倒木など、様々な障害物を乗り越える場面に遭遇します。スタンディングをすることで、バイクをより自由にコントロールすることができ、障害物をスムーズに乗り越えるための運動性を確保できます。
スタンディングの基本を身につけるには、正しい姿勢が重要です。ここでは、効果的なスタンディングを行うための3つの主要なポイントを詳しく解説します。
スタンディングの際はつま先をステップに乗せ、かかとを少し上げた姿勢が基本です。これにより、足首の柔軟性が保たれ、路面の衝撃を和らげることができます。つま先を内側に向け、くるぶしでバイクをグリップすることで、より安定した姿勢を保てます。
つま先でステップを踏むことには、いくつかの理由があります。まず、つま先で踏むことで足首が柔軟に動き、路面からの衝撃を吸収しやすくなる点が挙げられます。かかとが下がった状態だと、急にバイクが跳ねた際などに衝撃を吸収できず、足首を痛めかねません。また、かかとを上げることによって、膝を曲げやすく、体重移動をスムーズに行うことができるようになります。
ただし、状況によっては、かかとを下げてステップを踏む方が良い場合もあります。例えば、急な上り坂を登る際などの強いトラクションが必要な場面では、かかとを下げて踏むことで、より力強く地面を蹴り出すことができます。海外のエンデューロ競技選手には、かかとを下げて骨盤を立て、後ろ重心でバイクをコントロールするスタイルも見られます。
つま先はやや内側へ向け、膝を曲げた際に膝と車体が密着できるようにしてください。
一般的な座った乗車姿勢では、ニーグリップやくるぶしグリップが重視されます。しかしスタンディングでは、車体を挟むことよりも「しっかりと立ってバランスをとる」ことが重要です。そのうえで、膝を曲げた際に重心が外側へばらけてしまわないよう、つま先をやや内側へ入れるようにします。連動して膝関節も内側へ向くため、車体との一体感が増すのを感じられるでしょう。
スタンディングでは、膝をクッションのように使って路面からの衝撃を吸収することが重要です。
膝の曲げ角度は、一般的に15〜30度程度が適していると言われています。衝撃吸収能力と安定性のバランスに優れているためです。ただし、個人の体格や路面状況によって最適な角度は変わってくるので、自分に合った角度を見つけましょう。
また、膝に力を入れすぎないことが大切です。柔らかく膝を使うことで、バイクの挙動に対応しやすくなり、衝撃を吸収しやすくなります。
上半身はリラックスし、腕に過度な力を入れないことが重要です。特に腕の力を抜くことで、バイクの動きに柔軟に対応できます。
スタンディング中は腕の力を抜いて、ハンドルに力をかけすぎないようにすることが大切です。ハンドルを強く握ってしまうと腕が疲れるだけでなく、バイクの動きを妨げてしまう可能性があります。ハンドルはあくまでも軽く添える程度に、バイクのコントロールは下半身で行う意識を持ちましょう。
肘は軽く曲げ、リラックスした姿勢を保つようにします。肩に力が入っていると上半身が硬直し、バイクの動きに追従できなくなってしまいます。オフロード走行では、常にリラックスして、バイクの動きに柔軟に対応できる状態を維持することが重要です。
目線はできるだけ遠くに向けることで、路面の変化に素早く対応できます。目線が近すぎると視野が狭くなり、危険を察知するのが遅れてしまいます。また、バランス感覚も悪くなるため、転倒のリスクが高まります。常に数メートル先の路面状況を把握し、危険を予測しながら走行しましょう。
スタンディングは、練習を重ねることで誰でも習得できるスキルです。ここでは、初心者でも無理なく段階的に上達できる5つのステップを紹介します。
まずは、広い駐車場や広場など、安全な場所でバイクを停止させた状態での練習から始めましょう。両足をステップに乗せ、ハンドルに軽く手を添えて、バランスを取ってみましょう。このとき、目線は遠くに向け、リラックスした姿勢を保つことが重要です。
バランスを取る感覚が掴めてきたら、次は低速走行中に立ち乗りを試してみましょう。最初は、直線をゆっくりと走りながら、スタンディングとシッティングを繰り返します。徐々にスタンディングの時間を長くしていき、バランスを維持できる時間を延ばしていきましょう。
低速走行での立ち乗りに慣れてきたら、簡単なフラットダートで練習してみましょう。オフロード走行では、路面状況が常に変化するため、バランス感覚を養うことが重要です。フラットダートは、オフロード走行の基礎を学ぶのに最適な環境です。
フラットダート走行に慣れてきたら、立ち乗り中のギアチェンジにも挑戦してみましょう。以下の3つのポイントに注意してください。
練習の際は、まず低速でのギアチェンジから始めます。スタンディングポジションを保ちながら、足首の動きだけでシフトペダルを操作するよう意識しましょう。
ある程度ギアチェンジにも慣れてきたら、いよいよ凸凹道での練習です。最初は、緩やかな起伏から始め、徐々に難易度の高い路面に挑戦していきましょう。凸凹道を走行する際は、膝を積極的に使って衝撃を吸収し、バランスを維持することが重要です。
スタンディング走行時には、以下の5つの注意点を守り、安全かつ快適なライディングを心がけましょう。
スタンディング中は、バイクとの一体感を意識することが重要です。やや内股の状態を基本として、バイクを脚で挟み込むように意識しましょう。体重移動をスムーズに行うために、足首を柔らかく使うことも大切です。
スムーズな加速の主なポイントは、体重移動と適切なスロットル操作です。加速時は、上半身を軽く前傾させ、腕に力を入れすぎないようにします。スロットルは急激に開けるのではなく、徐々に開けていくことで、タイヤのグリップを維持しやすくなります。
ブレーキングに関しては、体重移動と適切なブレーキ操作が重要です。ブレーキをかける際は、上半身を軽く後ろに傾け、腕と膝を使って衝撃を吸収します。フロントブレーキとリアブレーキを適切に使い分け、急激なブレーキングは避けます。
スタンディング中は、ハンドルに力をかけすぎないことが重要です。ハンドルはあくまでも軽く添える程度に、バイクのコントロールは下半身で行うように心がけましょう。腕に力が入っていると、上半身が硬直し、バイクの動きに追従できなくなってしまいます。
スタンディングのままコーナリングをこなせるようになると、走り方の幅が大きく広がります。一般的には、コーナリング時は座ったほうがバイクを倒しやすく、安心して曲がることができます。しかし、立ったままでのコーナリングを習得すればより早くコーナーを駆け抜けることができるでしょう。
初心者が簡単に習得できる技術とは言えませんが、練習する価値はあります。具体的には、アクセルを開けてトラクションを維持しながら、上体をバイクと同程度に寝かせて(リーンウィズ)曲がります。膝の動きで前輪と後輪のトラクションを調整することがポイントです。
雨で濡れた路面や砂利道など、滑りやすい路面を走行する際は、特に注意が必要です。スタンディング中は、急な操作を避け、常にバランスを意識しながら、スムーズなライディングを心がけましょう。
ここでは、オフロードバイクの立ち乗りに関するよくある質問に答えていきます。
オフロードバイクの立ち乗りは、最初は難しそうに感じるかもしれません。段階的に練習し、無理はせずに自分のペースで上達を目指すことが大切です。安全を最優先に考えて楽しみながら練習を重ねていけば、必ずスキルは向上します。
スタンディングをマスターすれば、オフロード走行がより安全に、そして楽しくなります。ぜひ、この記事を参考に、立ち乗りに挑戦してみてください。
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