
イベント男・青柳
2りんかんの各種イベントにスタッフとして運営に携わっていく中で刺激を受けて、49歳でバイク再デビュー。そこから3年、今年で52歳になるがますますバイクに夢中になっている。夢は娘さんとのタンデムツーリングだが、現状では「怖い、あり得ない」と拒否されている哀しみを持つ。特技はレンズを向けられると即座にメガネを上げること。
福本優香ちゃん
2りんかん祭り、2りんかんcaféなどでがんばってくれているバイク大好きライダー。雑誌・タンデムスタイルやBS11大人のバイク時間MOTORISEでも活躍中だ。愛車はSR400。バイク歴は1年未満だが、撮影などでがんばっているためめきめき上達している。「安定したライディングで、足着きが僕よりも良さそう」と青柳さんからライバル視されているバイク女子なのだ。
様々なツーリングを経験し、自信が大きくなっている青柳さんに“最大の試練”がやって来ました。今回のキャンプツーリングでは、何と青柳さんよりもライダー歴が短い福本優香ちゃんが走ります。これまでは何かと「助けてもらう側」だったり、「教わる側」だった青柳さんが、今回はリードする側としてツーリングに参加するワケです。「正直、多少の不安はあった」と、本音を漏らした。
そしてもうひとつの“試練”は、ドキュメンタリーであること。熱烈な読者のみなさんならばお気づきだったでしょう。これまでのキャンプツーリングでは、正直ちょっと不自然な部分がありました。それは積んでいる荷物の割に、夕食時のアイテムが多いなどなどです。会見を開くと5時間を超えそうなので(誰も来ないはず)、この場での謝罪でご勘弁願いたい。深く反省し、今回は“リアル”をテーマになるべく取材班は放置することを宣言します。
当日の朝は、都内で青柳さんと優香ちゃんが集合し、二人で足柄SAへ。そこで二人の荷物の一部を積んだ取材班と合流します。実はここが一番の鬼門。青柳さんが先導しながら進みます。最近はバイクに乗る機会が増えていたので、思ったよりもスムーズに進んだ様子。「慣れって大きいな」と自信を深めた青柳さんでしたが、これは当たり前。下道は自身の会社の近くだけで、あとは高速です。ここで問題があったら、それこそ「困ったもの」ですよね…。
一方で優香ちゃんは自分の愛車ではなく、CBR400Rでの参加。「おぉ、CBRに乗れる!」と興奮気味。しかも首都高速に乗るのは初めて! 青柳さんが道案内をしてくれることで、かなり安心できたようです。この点では青柳さん大活躍! と言えるでしょう。
インカムを装着している二人ですが、別メーカーのため「直接つなぐ知識がない」わけです。それぞれがスマホと連結し、長電話で会話を楽しみます。これが功を奏し、グループトークで取材班も入れてもらって会話を楽しみ、指示も伝えることができました。

「こういう会話シーンが使われるから」とささやく青柳さん。インカム使ってるじゃん! となりに行く必要ないじゃん! 今回はリアルに行きますよ!
さて、取材班と合流をしたら何をするのか。そう、荷物を積むこと。ゴールドウィンのGWM X-OVERリアバッグ35を装着してきた優香ちゃんは楽々。キャンプ道具はリアバッグに入れて終了です。
青柳さんはツーリングネットでの積み込みです。あらら、銀マットを落としちゃったりして大変ですね。優香ちゃんを待たせながら、急いで作業しているせいでしょうか? やっぱり準備は大切ですね。

荷物も積み終わり、さぁ出発! 東名自動車道を気持ち良く走り始めてほどなく、優香ちゃんが大騒ぎ。青柳さんのサイドバッグから「ビニールが出てます!」とのこと。すぐに近くのPAで確認してみると…チャック全開でした。幸いにして中身は何も飛び出さずに済みました。

東名高速道路から新東名へと入り、気持ちいい空気を感じながら走っていく二人。見える景色についてとか、天気についてとか、とりとめもない会話を楽しんでいきます。これだけ会話が弾めば、眠くなる心配もなし! インカムって素晴らしいですね。
新富士ICで降りて、下道を進みます。目指すは朝霧にある“ドライブインもちや”です。広い駐車場では数々のバイクイベントも開催されている有名なドライブイン。とは言え当日は何のイベントも開催されていないので、初めての優香ちゃんにはピンと来ないようです。次回はぜひイベントが開催されている時に行ってもらいましょう!
スマートフォンのマップ機能を駆使し、先導をしていたのだが、道を間違えてしまったらしい。工場地帯を一周したり、民家の間の細い路地へ入り込んだりともう大変! 「あ! こっちじゃなかった!」という声と、焦っている行動が優香ちゃんと取材班に笑いをプレゼントしてくれた。道に迷うのも「良い思い出」ですから、焦らなくても大丈夫なんですよ、青柳さん。
そして出現したワインディングでは青柳さんが絶好調! 「リーンウィズ、ニーグリップ、タンクを足で倒し込むロール荷重を意識しました」と自信満々です。ブリッピングシフトダウンも練習する場面も。「意識して走ると全然違うね。優香ちゃんの様子も確認しながら走るということにも挑戦できたので、良かった」とのこと。まぁ、優香ちゃんを大きく離しちゃった状況もけっこうあったんですがね…。
北海道を連想させるほど広い牧場などなど、素晴らしい景色が優香ちゃんの心に残ったようでした。「スマホのマップってマニアックな道を行かせるんだなぁって思っていましたが、きれいな景色に出会えたから良かったです」と優香ちゃんを大満足させていました。

ツーリングと言えば、美しい景色の中を走る写真が付き物。とっても良い場所があったので、一度進んで戻ってきてもらうことに。禁止されているワケでも、狭い道なワケでもない道なので、安心して待っていました。ところが突然、青柳さんから連絡が入り「Uターンできないから、諦めてください」と…。優香ちゃんも驚く、バイクなしの道路風景写真が残ったのでした…。

ドライブインもちやを出発してからほんの数キロで、またも道を間違えた青柳さん。「坂道だし、危ないから」と優香ちゃんのUターンを代わります。しかも「ちゃんと写真撮ってるかな? このシーン撮ってるかな?」とグループトークで過剰にアピール。優香ちゃんは雑誌・タンデムスタイルでツーリングのレギュラーページを持っています。Uターンだって普通にできるのです。「自分でUターンさせてもらえなかった」と悔しそうな優香ちゃん。あまり評価は上がらなかったようです。

事前に青柳さんから送られてきたしおりには、ランチの場所が決まっていました。ところが、走りながらの会話で「優香ちゃん、お昼はおそばとうどんのどっちが良い?」と質問しています。突然の予定変更、しかも、バイクに乗りながらという状況にちょっと慌てる取材班。ところがさすがに「グルメの青柳さん」と優香ちゃんに名付けられているだけはあります。すぐさま美味しいおそば屋さんに案内してくれました。
美味しそうなお料理が到着! とっとと撮影して、いただきましょう。というところですが、この二人は息が合いません。優香ちゃんがポーズをとっているのに青柳さんはスマホで撮影…。「いただきます」をしようとしたら、食べ始めている…。
手打ち蕎麦はよく噛むと甘みが出てきて、本当に美味しい。サクサクでジューシーな天ぷらもたまりません。美味しい食べ物は人を無口にさせるのです。無言で食べ尽くし、大満足で店外へ…。

幸せな気分でお店を出ると、何と豪雨! 天気予報によれば、数十分で通り過ぎるとのこと。二人はとにかく立ち尽くすしかないのです…。そして車両に積んだ荷物が濡れていっていることに、この時は気付かないのでした。
キャンプでの宿泊なので、早めに現地に入ります。リトリートキャンプまほろばへ到着。河口湖、そしてその向こうには富士山が見える絶好のロケーション。残念ながら富士山は明るい時間には雲にかくれていましたが、空気も美味しく最高の気分です。
優香ちゃんは初めてテントをたてるので、説明書を見ながら格闘していきます。青柳さんはというと、雨に備えて先に食事会場のタープを設置します。撮影班がお手伝いしたので写真レスですが…。
テントが完成し、イスに座って待つ優香ちゃん。テント慣れしている青柳さんの猛追も及ばず、テント設置対決は大幅なハンディをもらっていた優香ちゃんに軍配が挙りました。

もろもろの設営が終われば、バイクの前で乾杯! 「美味い!」「染みる!」などなど叫びながら地ビールを楽しみます。なぜバイクの前だったのかというと、青柳さんのイスが雨で濡れていたからなんです。バッグは開けっ放しで走るは、雨の中放置で濡らすは「荷物の扱いが雑。荷物がかわいそう」と優香ちゃんが同情するのもうなずけます。
一気に二本も飲んだ青柳さん。「乾きもののつまみも買っておけば良かった」ととんでもない発言。さぁ料理にとりかかってください!
料理対決という楽しみがあるにも関わらず、足取りの重い二人。どうもツーリング疲れが大きいようです。優香ちゃんは「チーズフォンデュ」と宣言し、青柳さんは「カレーでいきます」と自信に溢れています。序盤の包丁さばきはほとんど互角。どちらももう少しレベルアップしてくれないと、食べる取材班は心配でたまりません。
カットが終わり、今度は火起こし。炭に火が入るまで、一所懸命に吹きます。が、「吹き矢みたい」と言い出した優香ちゃん。青柳さんもやれたフリして…。真面目にやってください! 食べ始める前に夜になるから!
結局、夜になってしまいました…。どちらもちゃんとできているようで、ある意味安心なんですが。優香ちゃんのチーズフォンデュはカット野菜をひと湯でしているので、ジューシーな味わい。水分不足になりがちな夏場にはもってこいです。お酒のおつまみとしても「なんぼでも食べられる」と高評価でした。対して青柳さんのカレーは、ご飯がこげた以外に大きな失敗なし。みじん切りにしたタマネギが溶けて、コクのあるピリッとしたカレーに仕上がりました。どちらも高評価ですが、作り込みの差で青柳さんが勝…とも思ったのですが、優香ちゃんからの密告が勝敗を左右します。
「この紙なんですか?」優香ちゃんが言いました。青柳さんが落とした紙でした。実は、青柳さんの部下には調理師免許を持つガチの料理人さんがいるのです。その部下にレシピを作らせ、その通りに作っていたのです。正直に言えば良いものを「何でもないっ! 見ちゃダメ!」と隠そうとするからイメージが悪くなるんですよねぇ…というワケで、自分で工夫した優香ちゃんの勝利!
負けた青柳さんには、うれしくない「あーん」をしてもらいます。焼けたばかりのソーセージ…。優香ちゃん、それは炭用のトングですよ…。カレーはオタマで「あーん」ですか…。
お酒も進み、お見せできる雰囲気ではなくなったのでおやすみなさい。あ、用品が多いことはお気に為さらずに。リアルの追求を諦め、用具も買い足して車に積み込んだ青柳さんがいたのです。

心配していた夜間の雨もなく、気持ち良く朝を迎えました。青柳さんと優香ちゃんの二人は、本当に息ピッタリの凸凹コンビ。朝の「おはようございます」でさえ、目線が合いません(笑)。
昨夜を思い出し「楽しかったぁ。火を眺める時間は心地良かったし、井上さん(青柳さんの部下のお料理上手さん)レシピのカレーはほんまに美味しかったし」と楽しい思い出が既に溢れている優香ちゃん。朝食のパンを食べながら、青柳さんと思い出話に花咲きます。とは言えのんびりもしていられません。さぁそろそろ撤収作業に取りかかりましょう!
さて、食器を片付けたらテントやタープの撤収です。実はテントは設営する時よりも撤収する方が難しいもの。最後に小さい袋へしまうのが大変なのです。どうやって収納するのか手間取る優香ちゃん。アウトドア好きのマネージャーさんがアドバイスを送ります。「マネージャーを写真に撮らないでぇ〜!」と叫びながらも素直にアドバイスを聞いています。
一方の青柳さんはタープの片付けを終えてからテントの撤収へ。「ここから追いついてやる」と妙なライバル心(?)を燃やして加速! しかし一歩及ばず、優雅に待つ優香ちゃんの姿を見ることに。こうやって楽しみながらやれば、撤収作業もはかどるものですね。
さぁ荷物を積んで、出発しましょう! と、ここでも手間取るのが青柳さん。「やっぱり大きなシートバッグとか、リアボックスとか欲しいな」と用品の大切さを痛感したようです。

良いお天気の下で、楽しいライディングがスタートしました。「朝の木漏れ日は美しいですよね」と優香ちゃんのテンションも上がっています。慣れていくに従って、会話も変わっていきます。「次で左に曲るよ〜」など、先の情報を伝える青柳さん。どうやら「はいっ!」と答えてくれるのがうれしいようです。きっと家庭では…(涙)。
渓流釣りをするのは、ベリーパークフィッシュオン。ニジマスなどを狙うので、ルアーやフライといった釣り方もできます。今回は優香ちゃんがルアー、青柳さんが覚えたてのフライでフィッシング。優香ちゃんのマネージャーさんが釣りも好きだということで、一式を借りて指導も受けちゃいます。
今回のお昼は何と「釣ったお魚を調理する」のみ。釣れなければお昼なしになるので、必死に釣ります。が、必死になれば釣れるというものでもありません。優香ちゃんはスローがとっても上手。期待させてくれます。
覚えたてのフライフィッシングですが、釣り歴のある青柳さん。ハデな動きで投げていきます。と、その時! 青柳さんの糸がピンと張って竿がしなりました! かかったのは枝です。しかも後ろに生えていた木の枝…。それも同じ場所で何度も…。優香ちゃんのマネージャーさん以外、誰も助けようという気持ちを持っていません。やっと場所をかえてくれたと思ったら、今度は転落…。ケガもなかったので、もう優香ちゃん大笑いです。
かなり青柳さん有利のフィッシング対決。ところが先に釣り上げたのは優香ちゃん。最初は怖さとかいろいろあったみたいですが、初めて釣り上げたお魚を手に満面の笑み。「お昼は釣れたから」と余裕の表情で続けます。というか、途中でちょっと飽きて、マネージャーさんに交代していました。
これで焦るのは青柳さんとマネージャーさん。初心者に負けてはいられません! しかし手柄を焦るあまり、せっかくかかった魚に逃げられること数回。やっと一匹釣り上げた頃にはもうお昼にさしかかっていました。マネージャーさんも焦りからか場所を何度も移動していましたが、青柳さんが釣り上げた頃には調子が出てきて数匹ゲット! みんなのテンションが上がっていきました。釣れはじめた青柳さんのテンションも高い! 予定の時間を大幅に過ぎているのに、夢中になっています。これが後のハプニングを生むのですが…。
釣ったお魚達は協力してさばきます。流しには包丁も備え付けられているので安心です。さばき終わったら、青柳さんが塩で味付けの係。優香ちゃんは焼き係になって仕上げます。しかしご飯も野菜もなく、ただ魚だけをいただく。ワイルドですねぇ。

大幅に予定時刻から遅れてしまった結果、焼いている途中から雨…。焼き終わったら豪雨になっていました。前日の雨で濡れてしまったTシャツをタンクの上で乾かしていた青柳さんでしたが…。「干す前よりもびしょびしょ」になった無惨な姿になっていました。
最後はなし崩し的に終わったツーリング…締めは感想コーナー
あまりに激しい雨だったので、少し小降りになったらすぐに出発! スマホのマップ機能を設定するのも時間が惜しいほど。安全のために写真も撮らずに取材班が先導して終了しました。優香ちゃんは「カッパを着て走るのが初めてでしたが、蒸し暑いものですね」と本音がぽろり。今度は良いレインウエアを用意してみましょうね。きっと違いがわかるはずです。予定とは違い、なし崩し的に終了を迎えたツーリング。キャンプツーリング初めての優香ちゃんはどうだったのでしょう?
優香ちゃん的には、夕飯の買い出しも「買い過ぎちゃってましたね。大人になっても買い過ぎちゃうものなんだと安心しました」と少年過ぎる大人からの影響を受けてしまいそうです。違うんですよ、買い過ぎない大人もたくさんいるんです!
一方の青柳さんはどうでしょうか。「今回は自分よりバイク歴が浅い女性ライダーとのガチキャンプツーリングだったので、多少の不安はあった。でも会話が弾んだので払拭されたかな。ライディングもいろいろと意識しながら走れて、今までとは大きく違ったと思う。最近は乗る機会も多かったしね。やっぱり意識すること、慣れることは大切。それとフライフィッシングはツーリングに最適だと思った。エサと違って臭いもないし、装備もコンパクトにまとめられる。一緒にツーリング&フライフィッシングを始めましょう」
フライフィッシングツーリングがイチ押しのようです。最後に本人がちょっと触れていたライディングについて、優香ちゃんにも聞いてみましょう。「コーナーの時、大きく身体を落とすんですけど、クセなんでしょうか? (本人的にはリーンウィズ)わざとだったとしたら、理由は何でしょうか? でも大荷物を積んで、美しい景色の中を走る姿は「旅人」感があって絵になっていました♪ ただ、ナビを信用し過ぎなのかな? って思いました。言われるがままにUターンや同じ場所を回ろうとしたり…。私のように方位磁石で走ってみましょう(笑)。次からはUターンさせてください♪」

何とかガチのキャンプツーリングを無事(?)乗り切った青柳さん。次はサーキットデビューが予定されています。ちょっと不安になりつつも、楽しみにしている青柳さんなのでした。